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土と施肥の基礎知識

土は何からできている?


石英はそれらの中で最も風化しにくい頑固な造岩鉱物であるため、土の中には必ずといってよいほど、この石英が含まれている(写真1)。熱帯地域では岩石の風化速度が速いため、石英以外の造岩鉱物が風化してしまい、砂のほとんどが石英からできていることもある。また、石英はクォーツとも呼ばれ、じつは宝石の一種である水晶と同じ構造の鉱物である。いわば、土の中には宝石がちりばめられているわけだ。そのほかにも、写真2のようなプラントオパールと呼ばれる植物由来のごく小さな宝石も含まれている。

3.土の本体の粘土鉱物は
粘土に含まれている

造岩鉱物が物理的風化作用により細かくなり、粒径が0.002mm以下になったものを粘土という。土を指先でこねるとツルツル、ベトベトする物質で、この粘土の中に土の本体ともいえる粘土鉱物が含まれている。細かくなり表面積が増大した造岩鉱物が、酸素・二酸化炭素・水などとの化学反応により結晶構造が変化してできた新しい鉱物である。
粘土と粘土鉱物、混同しそうだが、粘土の中には粘土鉱物だけでなく、風化抵抗性の大きな石英や正長石が結晶構造を変えずに大きさだけが直径0.002mm以下になった鉱物も含まれている。これらを一次鉱物というのに対して、粘土鉱物を二次鉱物ともいう。
造岩鉱物(一次鉱物)と粘土鉱物(二次鉱物)の関係は図1と表1のようになる。粘土の中でも粒径がさらに細かくなり、直径0.0002mm以下の細粘土と呼ばれる大きさになると、ほぼすべてを粘土鉱物が占める。この粘土鉱物にもさまざまな種類があり、その違いが土の保肥力や肥沃度に大きく影響する。

4.不均一さこそが土の特性

写真3は、山梨県の果樹園の土から分離した砂と粘土の顕微鏡写真である。砂は大きさにより粗砂・細砂・微砂に分かれる。
微砂より細かい粘土には保水性があるため、粘土を多く含む土ほど水持ちがよくなる。また、粘土には養分を蓄える性質(保肥性)があり、それには粘土鉱物のほかにも腐植が関与している。
一方、土に砂が多く含まれていると水はけ(透水性)がよくなる。砂そのものは保水性や保肥性を持たないが、大きな砂のすき間に小さな砂が入り込んで、砂と砂の間に大小さまざまな大きさのすき間ができる。小さなすき間には、表面張力により水(土壌水)が貯まり、保水性が高まるとともに、植物に最も吸収されやすい水溶性養分が溶け込む。逆に大きなすき間には、植物根や土壌動物、微生物の呼吸に不可欠な空気(土壌空気)が含まれる。そのため、土壌空気は大気に比べて酸素が少なく、二酸化炭素が多い。

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