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土と施肥の基礎知識

土の種類と色

1.土も十人十色

十人十色といわれるように同じ人は二人といない。それと同様に土の種類も数限りないが、「黒土」や「赤土」のように土は色で分類することが多い。ほかにも土の色は、褐・黄・灰・青・白などさまざまだ(写真1)。
黒い色の正体は腐植で、その含有量が多いほど黒くなる。園芸用土としても使われる「黒ボク土」には腐植を30%程度含む真っ黒な土があり、おそらく世界でも最も色の黒い土のひとつである。
黒土は黒ボク土の腐植層の土だが、その下層でほとんど腐植を含まない土を採掘し、乾燥してふるいを通した園芸用土が「赤玉土」だ。赤といっても実際には褐色で、本当に赤い土は亜熱帯や熱帯地域で見られる赤色土である。東京都内にも世界で最も赤いと思われる土が分布している。ただし、都心から約1000km離れた亜熱帯の島、小笠原村父島である。
東京から東海道新幹線で西に向かうと、小田原辺りまでは黒ボク土の畑が広がっているが、静岡県に入ると茶園が見られるようになる。その茶園の土の多くが黄色土という黄色い土で、酸性が強いため茶樹の生育に適している。なかには赤い土、あるいは黄色と赤が混じった土も見られ、赤色土と黄色土を合わせて赤黄色土ともいう。

2.土の色を左右する鉄

これら土の褐・黄・赤色のもとになっている物質は、土の多量元素のひとつでもある鉄で、化学的条件の違いにより色が異なる。たとえば、新しい鉄くぎの表面はピカピカ光っているが、雨に当たると表面がさびて褐色になる。褐色の土にはその鉄さび(水酸化鉄)に類似する物質が含まれている。褐色の土を高温で焼くとレンガのような赤い色になる。それが赤色土の赤(酸化鉄)で、黄色は水酸化鉄と酸化鉄の中間物である。
北半球では気温が高くなる北から南に行くほど土中の鉄化合物の形態が変化して、色が褐・黄・赤と変化する。なお、日本では北海道や東北地方などにも赤い土が分布しているが、古赤色土と呼ばれ、過去の暖かかったころにできた土である。

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