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新・農業経営者ルポ

受け継がせたいのは、誇りごと。

農家一戸あたりの販売額が日本で最も大きい地域といわれる愛知県渥美半島で、敢えて省力化の進んだ葉菜類を選ばず、生食用ダイコンの生産に力を入れる西山直司。高校時代から実学としての農業に触れ、大学卒業後に父から経営を継承すると、工夫に満ちた工程管理や商品開発によって、季節性のあるダイコン経営を安定化させていった。かつて松も育たたなかった原野を開拓した入植初代の祖父と、二代目の父から受け継いだのは、優れた経営感覚だけでなく、開拓者としての誇りとチャレンジ精神だった。取材・文/昆吉則 撮影/編集部
先代を超えてこそ真の後継者となる

「売家(うりいえ)と唐様(からよう)で書く三代目」

 と江戸川柳はいう。

 書を学ぶ暇もなくひたすらに働いた初代。それを受け継ぎ家業を発展させた二代目。財を成した二代目の庇護の下で教養を積み、粋人として育った三代目。その三代目が、祖父や父が書くこともできなかった洒落た唐様の文字で「売家」と張り紙をする。


 

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