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特集

来たれ!TPP【後編・活用講座】



図9は14年の日本からの輸出金額に関するグラフになる。既存のEPA(FTA)対象国 への輸出はおよそ20%を占める。逆にいえば、輸出の80%は非EPA(FTA)国への輸出といえる。
これが、TPPが発効されると、EPA対象国からの輸出割合が40%程度と倍になる。この効果は、米国、カナダ、ニュージーランドによってもたらされる。
さらに、日本EUのEPAが発効すると、EUは日本からの輸出額の10%程度のため、日本からの輸出金額に対してFTA対象国の占める割合が合計で50%程度まで向上する。
そして、RCEP。これが発効すると中国、韓国他への輸出が30%程度を占めるため、最終的に三つのメガFTA後には日本発の貿易額の80%がFTA対象国向けとなる。輸出の大半がFTA対象国向けとなるわけだ。
日本の輸出に対して、いままでは20%くらいしかFTA対象国ではなかったが、数年後には80%と状況が逆転する。農産品や食料加工品にとって縮小するしかない日本市場に頼るのではなく、FTAを活用し、その品質と丁寧な作りを海外の人に知ってもらうチャンスだと思う。

【メガFTAと原産地証明】

メガFTAは適用するFTAに対して原産地証明ができれば、どの国にもその原産地証明が適用できる。TPPなら日本を除く11カ国の輸出に向けて、RCEPであれば15カ国、EUとのEPAであれば28カ国に適用が可能。個別国とのFTAでの原産地証明よりははるかに効率的だ。
もっとも農産品であれば、「完全生産品」であることの証明ができればいいわけで、その努力ができることで、多くの国に対する輸出が可能となる。

第3章
いかにして
FTAを活用するか
食・農業事業者の活用はすでに始まっている。

筆者はFTAの活用コンサルタントを11年行なっている。主な顧客は製造業のため、農林水産業とは少し趣が違うかもしれない。しかし、FTAの恩恵を受けやすい製造業でも活用に対してはいままであまり積極的ではなかった。たいへんもったいないことだ。

【FTAを活用しない理由】

農林水産業の場合、使い方がわからないというのが大きな理由ではないだろうか。正直なところ、FTAの活用を指南できるのは日本商工会議所に参加の各商工会議所でも、東京、大阪、名古屋、浜松など輸出に力を入れる製造業の立地する都市にしかない。その製造業でもFTAをあまり使わないのだから、そのアドバイスをしてくれる人がいない地方都市では、使う以前の問題かもしれない。そういうところを政府も考えるべきなのだろうと思う。

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