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成田重行流地域開発の戦略学

大消費地を活用した販路開拓(中)

地域開発プロデューサーの成田重行さんの鶴の一声で、福岡県豊前市は「内藤とうがらし」を素材にした加工品を作ることになった。売り先として目指すは新宿伊勢丹や紀伊國屋書店新宿本店など錚々(そうそう)たる名店ばかり。地元客ばかりを相手にしてきた加工業者は大消費地の壁をどうやって乗り越えていったのか。

新宿の百貨店を飾った
豊前の加工品

2015年10月某日、東京都新宿区にある伊勢丹新宿本店の地下1階の食品売り場は「内藤とうがらし」によって一斉に彩られた。この日から1週間、新宿中で始まった「新宿内藤とうがらしプロジェクト」によるフェア。その一環で、伊勢丹でも食品売り場の各社が「内藤とうがらし」関連の商品を期間限定で発売した。
本連載の初回で紹介したように、成田さんが顧問を務めるNPO法人おいしい水大使館もメインステージに店を構え、「ゆずこしょう」「玉ねぎドレッシング」「ピリ辛こんにゃく」など20品目以上を並べた。商品の味やデザインなどにおいて、どれも日本一の百貨店の大舞台を飾るには文句なしの品物ばかりだ。

加工技術を
段階的に上げていく

実は同NPOが扱った商品のうち10品目は豊前市で製造されたものである。1~2年前であれば、いずれも大都会の百貨店に並ぶレベルには到底達していなかった。どうやって生まれ変わったのだろうか。
14年、豊前市で「内藤とうがらし」の加工品を作るという実験が始まってからしばらく経ったときのこと。豊前市から委託を受けた同NPO理事長の阿部千由紀さんのもとに、次々に加工品が届き始めた。阿部さんはそれらの梱包を解き、中に入った柚子胡椒や漬物、ドレッシングなどを取り出す。
そのたびにいささか嘆息することになった。多少なりとも予想していたこととはいえ、どれも伊勢丹や高島屋などの一流店で扱うには、商品のレベルとしてはほど遠いものばかりだったからだ。

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