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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

第十六章 生産原価と生産技術の改善(2)10a当たりの土地生産性

世界的に珍しい公示地価制度

公示地価について少し調べてみた。全国の地価はここ3年上昇傾向にあり、2015年の全国の平均公示地価は1当たり17万9981円だ。もちろん用途によって平均値は異なり、住宅地は同10万2631円、 商業地は同41万2903円、工業地は同6万153円である。
さらに市町村別のランキングを見ると、ベスト3は当然、すべて東京の商業地である。3位から順に渋谷区、千代田区、中央区の一等地がランクインし、 最高額は同692万円。一方のワースト3はこれも想像どおりの北海道の住宅地で、3位美深町、2位下川町と続き、1位は滝上町の同2375円である。用途が異なるにせよ、なんとも北海道の地価は本来的に低いことか……。
土地の価値を示す地価は、本来その収益性で決まる。人通りが多く集客が見込める所は、みんなが注目して買いたがり、地価が上がる。商用地の公示地価が高いところは、立地条件の良い土地なのである。ちなみに、農家的な発想で10a当たりに換算してみると、最高額をたたき出した中央区の商業地は実に70億円近くなる。猫の額ほどの屋上菜園でも、相応の賃貸料(地代)が発生するのもうなずけるかもしれない。
一方、我々が耕す農地はどうか。全国農業会議所の資料によれば、純農業地域の「農用地区域(注1)」の農地価格は14年の全国平均で、中田(標準的な水田)の価格が10a当たり130万円、中畑価格(標準的な畑地)が同94万円。中田、中畑価格ともに1995年以降20年連続の下落となっている。現在の北海道の農地価格と比べると5倍にも10倍にも感じる価格なので、道産子の私には、下落傾向といわれても簡単に飲み込めない価格である。
そもそもこの公示地価は、世界的にも珍しい統計制度らしい。独自の制度が運用されるのは、国土が狭いから土地に執着するといわれる日本人ゆえだろうか。なかでも農家は農地に執着するといわれる。執着や愛着で価値が決まるのであれば、規模拡大志向の農家にとってはかなわない。下落傾向といいながらも、10a当たり100万円以上する農地は、簡単に購入できる価格ではないのだから。今回はそんな悩みが尽きない農業経営者と、生産原価と土地生産性について考えていきたい。

時間と手間がかかる作物
ほど土地生産性は高い!

一般的に、土地生産性が高いというのは、10a当たりの利益が高いという意味である。「利益」は「収益」から「費用」を除いたものであるから、これを経営面積で割って10a当たりに換算して算出する。

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