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【実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!】
第十六章 生産原価と生産技術の改善(2)10a当たりの土地生産性
- 齊藤義崇
- 第16回 2016年04月04日
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ちなみに10a当たり30万円というのは北海道の農地での想定である。府県を想定して、100万円/10aの水田を1ha買ってほしいという話が来たとしよう。必要資金は1000万円。10年で無利子の返済条件の借入金を設定する。その場合、1年間の返済が100万円になるから、10aで10万円の支払いとなる。
既存の土地利用作物で返済額を超える利益を出せるか。トマトなど土地生産性の高い野菜部門の事業拡大が目的で購入するのであればいいのだが、そうでなければいまの資金繰り状況から相当な覚悟で購入を決めねばなるまい。
では、賃貸した場合はどうか。賃貸料が年2万円/10aならば、1haで年間20万円の賃貸料が上乗せ費用として毎年捻出される。水稲でも土地利用作物でも機械の追加投資がなければ、10a当たり2万円を上回る利益を出せれば継続可能だ。賃貸のほうが無難と考える。
このような検討ができるのは、部門ごとに土地生産性を把握できているからである。生産原価から土地生産性を導く意義は、農地の購入、さらには事業の規模拡大に役立てるためといっていい。農地の規模拡大の現状は、北海道は買い、府県は借りが多い。購入か賃貸かは、土地生産性を把握して、大いに悩んでから出すべき答えであろう。府県では賃貸で規模拡大するのが賢い選択ではないだろうか。
農地購入を検討される読者は多いと思う。ヒントは1つ。単価×生産量=収益なので、単価を上げるか、生産量を上げるかである。次回はもう少し土地生産性を労働生産性とともに考えていく。
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齊藤義崇 サイトウヨシタカ
1973年北海道生まれ。栗山町在住。昨年、普及指導員を退職し、実家の農業を2014年から営む。経営は和牛繁殖、施設園芸が主体。普及指導員時代は、主に水稲と農業経営を担当し、農業経営の支援に尽力した。主に農業法人の設立、経営試算ソフト「Hokkaido_Naviシステム」の開発、乾田直播の推進、水田輪作体系の確立などに携わる。
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