ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

今年の市場相場を読む

和食食材としての根菜類10年の動き ゴボウ/タケノコ/レンコン/クワイ

突如、世界文化遺産として認められた「和食」。認められたのは味付けや調理法など食の文化としてであって、個々の食材が認定されたわけではない。しかし文化としての和食であれば、その食材も関係してくる。食文化として和食を、日本でも世界でも守っていくというのがユネスコの意図ならば、和食食材をも大切にし、何よりも日本人がその価値を認識しなくてはならない。そんな動きのひとつとして、前号では地方野菜や伝統野菜を取り上げた。今回はもっと汎用性のある食材を取り上げてみたい。菜っぱ物に並んで和食食材が多いのが根菜類だろう。この10年を比較して、その推移や課題を考えてみよう。

ゴボウ
市場は国産志向だが単価高騰。価値の再認識を

【概況】
東京市場へのゴボウの入荷は、この10年で24%の数量減、単価は4割以上も高くなった。実は生鮮ゴボウの輸入は4万4000tもあるのに、東京市場への入荷はそのうち0.2%、230tくらいしかない。ほぼ業務・加工需要に回っているのだ。逆にいえば、市場入荷は国産志向を強めているということで、主産地の青森はシェアを58%に上げ、入荷量も24%も増加した。一強多弱の状態である。
【背景】
ゴボウを食材にするのは日本だけで、中国圏が漢方に使うくらいのもの。大戦の際、捕虜になった英国人などが「木を食わされるほど虐待された」などと間違った指摘をしたが、これが和食にとって欠かせない食材なのだ。春を告げる春ゴボウの香り。煮物あるいは最も庶民的なキンピラ、天ぷらも、日本人はその独特の歯触りを楽しむ。生鮮品は小売店だと中国産は売れないが、総菜や弁当などに使う分には意外に鷹揚である。
【今後の対応】
10年で入荷が24%も減ったのは、青森以外の産地が高齢化などで生産を減らした結果だろうが、これだけ少なくなれば単価も上がる。輸入品はほとんど市場流通しないのだから、和食食材の代表格ゴボウは、これからますますウリ。生産拡大の好機が到来した。いまや外国人もゴボウ料理を食べる。日本の食文化は世界に広がっている。サラダゴボウなど新しい調理を含めて、日本人こそもう一度ゴボウを再発見すべきだ。

関連記事

powered by weblio