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イベントレポート

2016年度土を考える会冬期研修会 北海道 中央支部/関東 甲信越/東北

2016年度 土を考える会冬期研修会
北海道 中央支部

法人化って、ホントのところどうなのよ?

去る2月16、17日に北海道上富良野町の土の館で北海道土を考える会中央支部の冬期研修会が行なわれた。「法人化って本当のところどうなのよ?」をテーマに、農場の経営を会社化したい!するべき?しているよ!と、元気な農業経営者約20名が参加した。率直に申し上げるが、特に初日はこれからの会社経営を考える農業経営者にとって、衝撃的かつ笑いの絶えない集まりとなった。
事例紹介のトップバッターは、(有)藤田農園の藤田良治氏(士別市)の「こだわり良治の野菜『完全契約販売』に至るまで」だ。現在の経営面積は81haで、タマネギ、カボチャ、ジャガイモ、ニンジン、小麦、ビート、牧草を作付けしているが、夢は「作付け100ha、後継者を一人前にする」である。藤田氏は販売戦略や規模拡大に会社形態は欠かせなかったと言う。今回の勉強会には、将来の会社を引っ張るであろう社員を同行させていた。血縁ではない会社継承を目指す藤田氏は、人一倍お客様の声を大切に踏ん張ってきた経営、そして新たな会社継承を目指す姿勢を語った。
2番手は(有)アグリパワー北海道の長谷川新氏(当麻町)。何より筆者の20年来の友人である。1999年冬、当時普及員だった筆者は法人設立支援に携わり、将来を語り合った。現在の主要事業である無人ヘリ防除は当麻町から道南、十勝まで5000haに及ぶ。そのほか、ソバ・大豆の播種・収穫作業250haを請け負い、自身は水稲34ha、大豆18haの農業経営者である。乾田直播も20年の経験を持つ。2代目社長に就任した長谷川氏の言葉は、世界に羽ばたく日を期待させる自信に満ちたリーダーの言だった。
そして、算盤手(三番手)は筆者である齊藤義崇が過去の法人設立支援のエピソードを元に、自己の経営の法人設立への夢とこれまでに出会った多くの経営者から聞いた苦労話と面白話を披露した。数えると組織は15社。個人は2社を支援した。
続くディスカッションでは小原意玲氏のユーモアと鋭さを兼ね備えた進行で、発表者と会場を巻き込み、「法人化したい」「法人化するべき?」「すでに法人化している」という3者のやりとりが繰り広げられた。
その後の情報交換会は、「土を考える会の真意」と題した北村碩啓氏(上富良野町)の話に一同が聞き入った。聞き手は土の館館長の田村政行氏。40haの大規模農家に生まれた北村氏は両親との早い死別を経て、組織組合経営に失敗し、サラリーマンを経験してゼロから再スタートしている。1978年の第1回土を考える会からの参加者で、森林を開拓してつくった重粘土畑は、いまでは高収量を毎年叩き出す畑となった。現在、息子に経営移譲して77歳を迎え、「法人化を安易に考えてはならない」と訴えた。昼夜を通した語らいは、日付を超えても続いた。
翌日は、新作DVD鑑賞と中央支部の総会を開き、幕が閉じた。
(齊藤義崇)

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