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特集

日本に子実トウモロコシ産業をつくろう

パイオニアたちが切り開きはじめた国産子実トウモロコシ。その産業化を達成するために、いまやるべきことは何か。何が求められているか。シンポジウムを通して見えてきた現状と課題をまとめた。関連記事を本誌「江刺の稲」でも取り上げているのでご参照を!

シンポジウム・レポート
水田イノベーションと子実トウモロコシ

農業技術通信社は去る3月26日、「水田農業イノベーション研究会2016シンポジウム」をTKP東京駅日本橋カンファレンスセンターで開催した。
今回は「日本に子実トウモロコシ産業をつくろう」と題し、生産者、畜産家、小売業、商社、農業政策の専門家の計6人のパネリストを迎え、産業化の可能性と課題について討議が展開された。会場には生産者、畜産家、小売業、飼料メーカーや機械メーカー、生産者団体、商社、行政、研究機関、メディアら業種・業界を超えた関係者たち総勢約80人が集結した。

【市場側からの視点も提起】

本研究会は2014年より、水田への畑作技術体系導入を前提とした子実トウモロコシの生産を通じて「水田農業にイノベーション」を起こすという趣旨のもと開催されてきた。2011年に北海道の柳原孝二氏が飼料用子実トウモロコシの生産を始め、本誌主催のA-1グランプリ2012でグランプリを受賞。それを皮切りに本誌の呼びかけで翌年から全国各地でトウモロコシの生産と販売を実践する農業者が増えていった。
これまで検討会を通じて、子実トウモロコシは土地利用型農業の経営上のメリットと、国産Non-GMO(遺伝子非組み換え)という付加価値が飼料用および食品として市場性を持つことが注目されてきた。その一方で、実践の過程で生じたさまざまな課題も報告されてきた。
今回のシンポジウムは、生産者側の視点だけで課題を解決しようとするのではなく、市場の変化を捉えた商品開発など市場側の視点を含め、どうしたら生産から物流‐加工‐販売‐消費までの一連の産業として成立させることができるのか、業種を超えた人々が集まり知恵を出し合うことが趣旨である。
シンポジウムの冒頭で、昆吉則は次のように述べた。
「昨年、全国で計180haの圃場で子実トウモロコシが生産されました。これはまだ経営実験の段階です。農業の成長は、生産者側だけではなく、実需者や市場の側の商品開発の取り組みがあってこそ実現していくものだと思います」
本誌編集部の加藤祐子より、「国産子実トウモロコシの生産と産業的可能性」と題する報告に続き パイオニアたちより現状報告があった。北海道長沼町の北海道子実コーン組合組合長 柳原孝二氏、岩手県花巻市の盛川農場代表取締役 盛川周祐氏、同じく花巻市で畜産業を営み、盛川氏のトウモロコシを買い取っている高源精麦代表取締役 高橋誠氏の3人である。

【業種を超えた議論】

パネルディスカッションは前後半の2回行なわれた。前半では柳原氏・盛川氏・高橋氏の3人が参加し、課題やその対策が話し合われた。後半では、小売業の福島屋代表取締役会長 福島徹氏、三菱商事シニアアドバイザー 吉田誠氏、前農林水産審議官 針原寿朗氏より、それぞれ専門の立場から課題突破の糸口として、市場や物流、政策などの情報が提供された。

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