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新施設をつくるにあたり、来場していた農林水産省の某氏より、「産地パワーアップ事業」という支援が使えるだろうとの指摘もあった。
【品質と低コストと】
子実トウモロコシを出荷する場合、生産者側で水分量13%に乾燥させ、粗選し、フレコンに詰める。盛川氏は初回14年の出荷時、一部にカビが発生するというトラブルに見舞われた。高橋氏は加熱圧ぺんして対応したが、気温が上昇すると新たにカビが発生した。畜産側としては水分量を現在の目安よりも低い10~12%を目指してほしいという。
現在の生産量であれば短期間で使い切ってしまうが、今後、量が増えれば長期間保管することになり、カビの懸念がつきまとう。そこで2人は試験的なサイレージ化に取り組んだ。HMSC(20ページ参照)は、粉砕してビニール袋2枚を内側に入れたフレコンに詰め、乳酸を添加して掃除機で脱気し発酵させる。
盛川氏にとっては手間がかかるが保管しやすい。高橋氏にとっても、気温の低い土地の利もあり、少量であれば乾燥した配合飼料に水分量の高いサイレージを混ぜても問題がない。もともとリキッド飼料を使っている畜産であれば、よりサイレージを受け入れやすいだろうとのこと。
高橋氏はもともとドライ飼料で経営しているため、最終的には乾燥品で取引したいという。乾燥度合いを上げるにしても、サイレージにするにしても生産者の負担は増える。品質とコスト、取引価格の設定について、どこで折り合いをつけるか模索中の段階である。
「価格が高いコメと同じような手間やコストをかければ、補助金がないとつくれないという話になります。もっと機械や設備を汎用するなど、いままでにない切り口、低コストでつくる努力をしたうえで、ここは面倒をみてほしいという話ができると思います」(盛川氏)
塚原牧場の塚原氏もドライタイプのエコフィードで経営している。飼料は自家製で、パンくずなどの食品残さを乾燥してトウモロコシなどを加えている。やはり限りなく水分量10%に近い飼料が望ましいという。使っている乾燥機は、コメ用としては古いタイプの平型。10%まで乾燥させた後は、積み上げて保管してもカビは発生しないという。
このほか、会場からは中古のコンバインに自分で手を加えたところ、ロスは多いものの無事収穫できたという報告も。高橋氏からは耕種農家と直接取引する場合、畜産側が前払いになるため、資金繰りが厳しいなどの課題が挙げられた。(平井ゆか)
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