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特集

日本に子実トウモロコシ産業をつくろう



【食料自給率論への疑問】

針原寿朗氏(前農水審議官)も「補足的ですが、穀物価格は農業内部で決まっていない。一番値動きが似ているのは資源相場ですね。これはファンドマネーがどっちに行っているかとも関係している。このことを理解しないと政策を間違うから注意したい」と主張した。
その事例として挙げたのは食料自給率。日本の食料自給率は低いから上げなければいけないというのが農水省の言い分だ。ただし、食料の供給が増えて人口が増加すれば、再び食糧をまかなうために補助金を釣り上げる。ただし、穀物価格が農業内部で決まらないというのであれば、この論理は通らないことになる。
(窪田新之助)

Part3
突破口を開く

Part2では、国産子実トウモロコシ産業化の現状と課題を中心に触れてきた。
これからハードルを越えていくために、やるべきこと、変えるべきことは何か。
Part3ではシンポジウムでの提言を中心に取り上げていく。

関連制度の見直し(1)
補助金改革と用途限定撤廃

パネルディスカッションでは多方面の参加者から、国産トウモロコシを普及するうえで制度面を見直すべきだという意見が相次いだ。

【「補助金ありき」の弊害】

ひとつは経営所得安定対策で飼料用米に支払われている交付金。農水省は生産した農家に対して最大で10a当たり10万5000円を用意している。これだけ多額の交付金を設定したのは、飼料として競合する輸入トウモロコシとの価格差を埋めるためだという。
ただ、トウモロコシを国産化すれば、これだけの交付金は要らないと見られる。というのも、10a当たりの作業時間を見ると、水稲の15時間に対し、トウモロコシは1.5時間に過ぎない。しかも、収量は10a1tも可能。キロ当たり単価でも補助金付き飼料米よりはるかに安いとする試算がすでに示されている。
シンポジウム参加者のなかでは補助金不要論が数多く主張された。
「補助金ありきではなく、まずは最大限、生産者たちが自分たちでコストを下げる努力をするべきでしょう」(生産者の盛川氏)
「補助金なしでもやれる」(食品としての活用を目指している岐阜米穀の小塩幹雄氏)
貯蔵施設も補助金絡みだ。補助金を使って建てられたカントリーエレベーターはコメなどに用途限定。したがって、トウモロコシは貯蔵できない。これが生産量を増やせないネックのひとつともなっている。

【産業の健全発展のために】

流通面でも、三菱商事の吉田氏は流通関連のインフラは民間主導で整備できると主張。

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