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特集

日本に子実トウモロコシ産業をつくろう


現状の試験的な取り組みでは、北海道の一部を除けば自己完結の形で生産が行なわれているが、機械や施設への投資金額の問題だけでなく、作業時期が水稲と競合することから、その競合をなくし、より適期に作業するためにも専業のコントラクターへの外部委託が必要になってくると思われる。
コントラクターの作業としては、播種床準備までの畑作体系での耕うん・砕土・整地作業(トウモロコシ以外でも利用可能)、高性能な播種機やコンバインの作業、乾燥貯蔵も兼ねてもよいと思われるが、そのほか暗渠施工などさまざまな営農的土木もその範囲と考えてよいだろう。

【大規模乾燥貯蔵設備が
産業化には不可欠】

トウモロコシの収穫時期は水稲あるいは大豆の収穫時期と重なる。そのために現在のような試験的段階でも乾燥設備の競合が起きている。たとえば花巻市の盛川氏らのグループは、同じ市内の養豚家である高橋誠氏(高源精麦(株))に試験的供給を始めているが、高橋氏が通年利用するためには、少なくとも200ha分の子実トウモロコシが必要である。しかし、乾燥貯蔵設備が準備できないために10数ha程度で、それ以上の生産拡大をできずにいる。
トウモロコシの国産化では、こうした乾燥貯蔵設備の不足が各地で起きると想定されるわけで、乾燥トウモロコシを年間貯蔵する大規模な設備も必要となる。
一部の生産者ではトウモロコシを含めて水稲・大豆の使用を兼ねた乾燥設備を導入しはじめているが、生産面積の拡大や長期貯蔵を考えると、産地ごとに大型のカントリーエレベーターの設置も求められるだろう。
既存の農協等のカントリーエレベーターの利用も検討しているが、補助金を受けて設置したものは目的外の使用ができない。設備の老朽化も進んでおり、継続して利用しようとすると、メンテナンスおよびランニングコストが高いという問題もある。
これまでまったく国内生産がなかった子実トウモロコシであるから、新たなアイデアがあってもよい。産地での輸送距離の短い畜産利用はもとより、トウモロコシを原料とする各種の食品分野の商品開発を地方創生事業として取り組む、あるいは国産Non-GMトウモロコシであればこその商品開発を行なおうという企業による貯蔵設備の投資も積極的に考えていただきたい。

【未来を創造できる
政策的・制度的な支援を】

政策的問題として立ちはだかるのは、現在の水田農業政策の中心になっている飼料用米振興に対する過大な交付金である。農業経営者たちの収益だけを考えるなら、それは棚からぼたもちのようなおいしい政策ではある。

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