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特集

日本に子実トウモロコシ産業をつくろう


しかし、事業的農業であればこそ面積当たり収益だけでなく、投下労働時間・投下資本当たりの収益を考えるべきなのに、その過大な交付金につられて思考を変えられないのである。
急激な政策変更は混乱をもたらすかもしれないが、先に述べたとおり飼料用米よりトウモロコシのほうが飼料として優れていることは明らかである。さらに、国産Non-GMトウモロコシは新たな産業を興しうる。同じ財政負担をするのであっても、後ろ向きの現在を守るための補助金ではなく、農業だけに限らぬ未来を創造できる子実トウモロコシ生産を振興するほうが国民の納得も得られるはずである。
たとえば畑地での子実トウモロコシ生産に麦や大豆、でん粉用ジャガイモなどに支払われている10a当たり2万円程度の直接支払交付金が出るとしたら、生産が一気に増えるだろう。
飼料用に限らず食品仕向けに対しても転作交付金の対象になればという生産者の声もある。しかし、食品向け需要が増えることはありがたいが、そのためにトウモロコシの単価が高騰し、飼料を求める需要者には手の届かない取引価格になってしまう可能性もあり、配慮が必要かもしれない。
さらに、飼料の純国産化を目指す畜産酪農家の要望に応えるためには、かつて生産されていた飼料用麦や、大豆の飼料用仕向けについても、現在の制度や現行の品質規格なども見直すべきである。
国産Non-GMトウモロコシの産業的可能性は農業だけの問題ではない。需要側のさまざまな企業、そして地方創生にも結びつきうる取り組みなのだと思う。
これまで日本農業は過度に政治依存し、それゆえに改革が進まなかった。農業界はマーケットを見つめず、行政や政治に過度に依存する体質になってしまった。
未来と顧客ニーズを見通した産業界の皆様のチャレンジによって生まれる新しいビジネスで実現する農業改革にご協力をお願いしたい。そして、これまでのような補助金にはできる限り頼らず、コメに代わりうる国産子実トウモロコシ産業の創出に向けて、多くの皆様のお力をお貸し願いたい。        (昆吉則)

Part2
産業化の可能性を探る

まだ日本には国産トウモロコシ産業と呼べるものはない。端緒についたばかり。
水田イノベーション、生産技術、マーケット……。
これまでの経緯を振り返り、成果も踏まえながら、課題を浮き彫りにしていく。
どこまで可能性は見えてきたのか。

先進的に取り組んできた
パイオニアたちの現在

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