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紀平真理子のオランダ通信

イノベーションを続けるWorld Potato City Emmeloord

北東ポルダー基礎自治体は洪水のリスク対策のために作られたゾイデル海に大堤防を架け、客土をしてできた干拓地で1940年代にオランダ各地からの移住が始まった。World Potato Cityというコンセプトを作った元政治家であり、Nagele(ナーヘレ:域内の村のひとつ)のジャガイモ生産者でもあるWillem Keur氏は1958年にオランダ南部より両親とともに移住した。同氏への取材をもとにレポートする。
「もともと住んでいた場所に港を作るため移住を余儀なくされて引っ越した。当初は何もなく泣いたよ。でもいまはラッキーだったと思っている」

世界のジャガイモ産業をステアリング

北東ポルダーはエメロールト市を中心として円形状に10村が同間隔で広がっている。現在、同自治体には育種会社などの関連会社や検疫機関、さまざまなレベルの教育機関があり、6,902haで種イモ、2,857haで生食用ジャガイモを栽培している。このプロジェクトは2014年に草案を作成し、15年から正式に「World Potato City エメロールト」を打ち出した。この名前は瞬く間に浸透し、 毎年世界50カ国以上から関係者が訪問しているという。
World Potato Cityはもともと土壌の質が良いことと、 オランダ各地の生産者が集まったため幅広い知識があったことから、同氏と農産物貯蔵システム会社Tolsma社のHarry氏により「自治体内の知識や経験をつなげて、世界中に発信していき、また集まってくるような仕組みをつくり、北東ポルダーは縁の下の力持ちとして世界のジャガイモ産業をステアリングすることを目的」として進められた。インドや中国の近年のジャガイモ産業の発展にも同自治体は大きく関与しているそうだ。また、自治体長Aucke van de Werff氏によれば「生産者が知識を持っていることを自覚し、自分の仕事に誇りを持つことにも大いに役立った」

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