ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

成田重行流地域開発の戦略学

大消費地を活用した販路開拓(下)

いまも進行中の「内藤とうがらしプロジェクト」 。縁が新たな縁を呼び、人とモノのつながりが広がっていく。成田さんは、豊前市から福岡市にも足を伸ばしていった。文・写真/窪田新之助
豊前市を新宿と結び付け、その特産物を大都市で販売する試みを始めてから2016年で2年目。実験の開始から間もないため、現段階では新宿で豊前市の「内藤とうがらし」の加工品が常時並べられることはない。NPO法人おいしい水プロジェクトが主宰する単発のイベントやフェアで扱うだけである。ただ、今回豊前市を訪れて長期にわたって販売できる萌芽が見えてきた。

新聞店で
農産加工品を売る試み

成田さんは実験に参加する加工業者を何社か訪れたとき、そのうちの一社であるみやこハム(株)に(株)新宿高野との取引を提案した。この少し前にタカノの上層部と面会した際、この話を持ちかけていたのだ。タカノにはとりあえず毎年10月に開催する「新宿内藤とうがらしフェア」での試行を依頼している。成田さんは「おそらくこうした話はこれからいくつも出てくるだろう」と見ている。
もうひとつは新宿区の新聞店で通年販売するプランである。成田さんは今回豊前市を訪れた際、区内の今田新聞店で内藤とうがらしの加工品を売ることを提案した。
「新聞店で農産加工品を売る?」といぶかしがるのも無理はないかもしれないが、すでに成田さんは今田新聞店を八百屋に変えてしまっている。といっても新聞店が八百屋になるのは毎週月・水・金曜日の業務が暇になる10時から13時まで。現在は都内で収穫した野菜を並べている。
新聞店にとっては新聞の部数減で売り上げが落ち込むなか、地場野菜の販売で読者へのサービスができる。一方、地方にとってみれば大消費地で販売先が確保できる。双方にとってうれしいことだ。このプランに豊前市の後藤元秀市長は前向きに検討することを約束していた。

ブーメラン効果で
「不便さ」を売る

ところで、成田さんが期待するのは内藤とうがらし関連の商品が大都市で売れることだけではない。副次的に狙っているのは「ブーメラン効果」だ。本連載「豊前編」で触れたように、「ブーメラン効果」というのは「地域が都会に商品を投げて、それが売れて認知度が上がれば、観光や移住の促進も期待できる」とする成田さんの造語。

関連記事

powered by weblio