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北海道馬鈴薯でん粉物語

トラクター営農時代を迎えての馬鈴薯栽培に関する農業機械の開発改良技術 整畦培土機


割合と短い年数の間に新技術として認められ、全道各地に普及したが、新しい整畦培土法については、現地試験を通じて、経験を重ねながら納得できるものに形を整えたものである。正しい培土法のあり方も理詰めで説明できるようになり、農家を納得させることができたと思える。
馬鈴薯の栽培試験では、生育相が明らかに優っていると観察されても、坪掘調査では必ずしもそのとおりにならないことが多い。これは馬鈴薯の場合、豆類のように種子が均一でなく、場所によって生育差があると考えられた。坪掘面積を規定の倍以上にすると、安定した数値になることがわかった。
もっともこれは現地の農家から学んだものである。坪掘をしても成績が安定せず、どうしたものかと考えあぐねているとき、農家がポテトハーベスターから降りてきて、「整畦培土機はすごい技術だ。持ってきた機械は買うからそのまま置いていってくれ」と言うのである。どうしてそのように判断したかを問うと、「枕地で回行するときのハーベスターのタンクの中の収穫量を見ればわかる。自分の培土機を使ったところよりも明らかに多く、生育相が異なっていることも納得できた。塊茎の形状もそろっており、規格外品が少ないように思えた」とのことであった。
馬鈴薯の坪掘面積を多くすることは重量物だけに苦労は伴うが、それ以来、比較的正確に傾向を現せたと考えている。ともあれ、いろんな農家の支援があり、一つの技術を定着させることができたのは幸いであった。
そうこうするうちに、数人の専門家から整畦培土にクレームが付けられた。培土の側面を崩れないようにプラスチック板で押さえ込んでいるが、あれは固め過ぎで塊茎の肥大や分布を妨げると指摘された。そんなに固める構造ではないので、おかしいと思って調査してみると、固くなっているところがまったくないわけではなかった。
もう一人の専門家は整畦培土の技術を高く評価してくれたが、耕起法を改善するともっと増収すると言うのである。農家は30 cmの深さに耕起していると言うが、調査した限りでは15 cmであり、農家の怠慢だと叱責する。農家は経営面積が増えてから、耕起能率を高めようとして、浅起こしの傾向にあることは確かであるとしても、25 cmは耕起しているはずである。15 cm耕起では、圃場残さのすき込みが不十分であり、雑草も生えやすいので農家がそんな浅起こしはするわけはないと、改めて圃場を調べてみると、それは耕起深ではなく、砕土・整地法の問題と判明した。

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