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特集

未来なき飼料用米政策 高米価の再来を許すな!


昆 私たちも常々生産者たちに、コメを高く売ることより、たとえば契約栽培で経営は成立するんだよと言っています。
福田 そういう実例をどんどんつくるしかないですね。
千田 我々もそうしたい。でも平成26年産のように価格が下がると、我々流通業は買い手から下げろと言われてしまいます。
福田 私たち実需者は、下がっても下げろと言っちゃだめだと思います。たとえば、価格が安くなったときに、関東のコシヒカリを売りに来た大規模生産者さんがけっこういました。8500円で買ってくださいと。来年もその価格かと聞いたら来年は別ですと。私たちは安定経営をしたいので、それではだめだと話して、相場主義で買うとそうなってしまうから、原価主義で買いましょうということにしました。その人たちとはいまでもつながっています。
昆 精米や貯蔵はどうされているんですか。
福田 精米したものが欲しいので、地元の単協に入ってもらっています。いまのところは量も少ないので2月までにすべて買い取っています。与信の問題もきちんとしないといけないですね。
昆 契約栽培は日本の農業に大事なことだと思っています。でも農業界は産業界にインテグレートされるとものすごく反発してきました。そのなかで成果を挙げたのがカルビーとジャガイモ生産者です。カルビーは商品開発やマーケティングのほかに倉庫に投資した。コメでいえば精米設備や貯蔵設備に投資するようなことですね。いままでは農協が補助金でやってきたことですが、どこかでやはりマーケット側が投資しないと苦しくなると思います。
千田 私たちも、良心的な価格でやってくれた生産者は12月末に一括決済です。量が増えるとインフラを1年間使用するわけですから、資金繰りとか、保管の問題とかは必ずついてまわります。
福田 おっしゃるとおりですね。
熊野 その事業は米穀周年供給・需要拡大支援事業の助成対象になるんですか。
福田 関係ありません。国とは関係なくやります。私はマイナス面だけではないと思いますよ。考えて経営するコメの生産者が出てくる。
昆 確実に出ています。ですが、飼料用米政策のようなものに妨害されてほしくないと思っています。
福田 私も妨害されると思いました。ところが飼料用米は関係ないという人たちも多いですね。
昆 そういう考えを持っているのが本誌の読者たちです。原価の話をしますと、そもそも畑作技術体系でやれば、作業コストが下げられる。普通、機械1セットで30haの作業が限界ですが、畑作体系でやれば100haできる。コメに限らずあらゆる作物は、種まきまでにどこまでの仕事ができるかで経営できる面積が決まります。従来のロータリーハローを使うと時速2.5kmですが、プラウを使うと時速6kmになります。生産者のそういう努力と契約栽培はセットでやらなければいけない。コメだけに依存するのではなく、飼料用トウモロコシを輪作に加えるという選択肢もあります。面積当たりの収入で考えるのではなく、コメや麦・大豆・トウモロコシなどを含めた投下労働時間や投下資本、つまり経営全体で考えるというセンスを農業経営者たちに持ってほしいですね。政治や政策の問題というよりも、一つひとつ現実を変えることでしか、変わっていかないと思います。

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