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編集長インタビュー

プレミアム新時代 コミュニケーションが付加価値をつくりだす


おいしさとは
リズムが感性に合うこと

昆 時代の変化でいうと、70年代、多くのファーストフード店や外食産業が生まれました。私たちの世代であれば、当時、おしゃれな店として行きましたよね。しかし時代が変わり、価格の安さを競うデフレ経済になっていくなかで、貴社はお客様の満足を追求して成功していらっしゃる。
福島 多様化する社会のなかで、大企業には大企業のやり方があると思いますが、私たちの狙いは異なります。おいしいものはやはり売れるという考え方に基づいて、見て確認できるものとか、口に入れて確認できる味とか、個々の食品のマーケティングに集中してきました。その取り組みは、徐々に産地に向くようになりました。初めはお米からです。いまの事業スタイルや商品開発は、生産者とのコミュニケーションから大きな影響を受けています。生産者が自然と接触しながら考えていらっしゃることをどう伝え、どうお客様に摂取していただくのか。そこに重きを置くようになりました。
昆 たとえばどんなことですか。
福島 私どものグループ会社のなかに製麺会社があるんですが、いまひとつだと感じていました。先日、栃木県のソバ生産者の方に、製粉してから1週間以内であれば十割蕎麦ができると聞きました。粉にまだ若干の命が残っているので10割で打ってもつながるんだそうです。すごいなと思いましたね。機械製麺なので10割ではなく7割にしましたが、聞いたとおりに試したら、たいへんおいしい。これは、私たちの商品開発の切り口の一例です。
昆 福島会長がそんなふうに生産者から学んだ、生産者に出会って感動したという経験は私にもあります。いま本誌の読者のなかには、お米を宅配で販売している人たちがたくさんいます。私はその方たちに、お客様があなたとの関係性、あなたの背景にある風土や文化とのかかわりに満足しているのだという話をします。福島会長も、そういったことがおいしさにつながるとお考えですか。
福島 おいしいと感じるのは、リズムが合うことだと思っています。
昆 リズムですか。
福島 リズム、つまり波長とかハーモニーというものが合うと、おいしいと感じてもらえます。土だとか水だとか自然のバランスが整っている状態のなかでつくられた食べ物です。たとえば、有機農業はお客様から見るとわかりにくいですが、真剣に考えながらやっている生産者の農産物はやはりおいしいと感じます。私たちが売っていくものは、そういう生産者たちと連動しながら、リズムを合わせることができる商品です。それを文化とか風土とかつながりとかを含めて訴求する商品開発や売り場づくりをすると、10割打者と言えるほど、ほぼすべて売れます。

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