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顧客に喜ばれる麦・大豆づくり

純国産パスタを夢見るデュラム小麦品種「セトデュール」


さらに、稈長が短いため倒伏に強く、成熟期は農林61号と同程度で、単位面積当たりの収量も10a当たり600kgを見込めるという。ただし、赤かび病に極めて弱いため、適期防除の徹底が求められる。降雨による穂発芽を防ぐためにも、適期播種・適期収穫に努めることがポイントになるようだ。

需要側を巻き込んだ
取り組み

新品種のリリースにあたり、共同開発に参画したのは、国内でパスタ製造を手がける日本製粉だ。同じ穀物でも、小麦はコメと異なり、製粉から配合、加工などの工程を経て、製品にたどり着く。品種の評価は、この複雑な製造過程での扱いやすさも大きなウエイトを占めることになる。したがって、新品種の栽培拡大には、需要先を巻き込んで取り組むことが至上命題といえよう。
これまで原料を輸入小麦に頼ってきた国産パスタ業界が注目しているのは、国産デュラムセモリナ粉を100%使った「純国産パスタ」の商品化である。
そもそも、パスタの国内生産が本格化したのは1950年代後半で、その後、70年代にパスタブームが到来し、現在に至るまで順調に生産量は伸びてきた。日本パスタ協会のレポートによれば、マカロニを含むパスタの国内流通量は03年以降21万~27万tで推移し、そのうち国内生産量は14万5000t(15年)と約半分を占めている。
パスタブームを支えていたのは、デュラムセモリナ粉100%のパスタである。その原料は、高品質で安定供給が見込める輸入小麦である。「地産地消」などの旗印の下、国産品に消費者の目が向けられるようになったが、国産デュラムセモリナ粉は生産されていない。一部では、国産の普通小麦を使用したパスタを商品化する動きもあるが、本格的な純国産パスタの商品化は実現困難な状況に置かれていた。
なかでも日本製粉は、乾燥パスタと、ゆでたパスタの冷凍食品の製造と、シェフの生パスタ向けに小麦粉を提供する事業という2つの顔を持つ。セトデュールの登場を、国内に新しい素材ができたと捉え、期待感を示している。

商業栽培と
これからの展望

両者の共同開発による栽培は、11年の栽培から5年目を迎え、昨年秋に播種した16年産のセトデュールは30t前後の収穫が見込まれている。早くて今年の冬にもセトデュールを原料に使用した商品の試験販売が予定されているという。
生産拡大の取り組みと、消費者ニーズを踏まえた「純国産パスタ」の商品化と販売の道筋は同時並行で進んでいる。まだ60aと限られた種子の生産体制も、外観検査等の検査基準の策定もこれからだ。日本製粉・中央研究所基礎技術研究所長の大楠秀樹氏は「今後は安定した品質、生産量を確保するために推奨する栽培マニュアルに沿って栽培できる生産者を募り、徐々に栽培実績を積みたい」と話す。さらに「現在作付けされている小麦をセトデュールに置き換えるのではなく、新たに取り組んでもらいたい」と生産拡大に向けて呼びかけている。

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