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北海道馬鈴薯でん粉物語

トラクター営農時代を迎えての馬鈴薯栽培に関する農業機械の開発改良技術 茎葉処理機


さあ、大変である。さっそくスーパーマーケットなどから馬鈴薯の取引が停止される事態が発生した。行政は除草剤散布を奨励していたのかなどと騒がれると、なんとかこれを鎮静化しなければならなかった。
枯凋剤として登録されていない除草剤を使っているのであるから、申し開きのできない窮地に立たされた。除草剤を散布しているのはごく一部であり、たまたま雑草が多く、収穫が困難であって、雑草処理のために使用したものらしいなど苦しい弁明に追われた。化学処理が問題なのであって、機械処理はできないのかと追及されもした。幸い、当時、採種圃のために、オランダから引き抜き機を導入していた(写真1・2・3)。それに合わせて馬鈴薯用チョッパーを開発して実用化を検討していた。火炎放射機(写真4・5)も試作していたので後志の真狩村でこれらの実演会を開催し、一般に公開することにした。馬鈴薯の茎葉処理については、いろんな研究開発をしているのだと一般に理解され、なんとか毒ジャガイモ事件は鎮火した。その後、枯凋剤として正式に登録される農薬も開発され、人体に対する安全性が保障されている。一過性の出来事であったかもしれないが、このおかげで技術は一段と進歩したともいえよう。
加工用馬鈴薯が増えてきたころ、ヨーロッパではポテトハーベスターにチョッパーを取り付けて同時作業で茎葉を処理していた。このほうが省力的であり、検討してほしいと依頼された。ヨーロッパの場合、生育期間が長く、収穫期には茎葉が枯凋している。また、降水量も少なく、圃場が乾燥しているので、同時作業でも差し支えないので、湿潤地帯の我が国では無理だと進言したが、やってみないとわからないだろうと言われ、ポテトハーベスターにチョッパーを取り付けて同時作業をしてみた。
案の定、同時作業では圃場が乾燥していないので損傷が多く、採用できる技術ではなかった。我が国の馬鈴薯はヨーロッパに比較すると軟らかく傷つきやすい性状であるだけに、ヨーロッパ方式をそのまま採用できないものである。
表1は茎葉処理をした採種圃での収穫試験の一例である。無処理区は無傷割合が少ない結果となっている。また、剥皮果の割合も多い。前もって茎葉を処理していれば、明らかに掘り取り損傷が少ない傾向にあるのがわかる。土砂の混入も少なく、これは調査するほどではなかった。
茎葉引抜機(リーフプーラー)の性能例は表2である(写真6・7)。茎葉の処理率が99%であるので、とくに問題は認められない。問題点とされたのは塊茎の露出である。慣行培土で培土量が少なかったためと考えられている。種イモでは緑化しても差し支えないのではないかとの意見もあったが、品質に厳しい我が国では認められない。その後、整畦培土機が開発されてからは、露出はほとんどなくなっている。

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