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目的地はメキシコ国境にあるキャレキシコ飛行場にした。LA近郊の、周りにはまだ酪農家がたくさんあるチノ飛行場から南東200マイル、およそワンフライト1時間45分の距離になる。
何度もこのチノ飛行場に来ているが、風向きで鼻にカツーンと来る、堆肥の香りが周りの高級住宅街とピッタリ合うのが米国らしい。
機種は日本ではまだ数機しかないセスナ172の最新モデルS型だ。なんといっても燃料供給がキャブレタータイプからインジェクションタイプに変わった。
私は一度しか経験したことがないが、キャブレタータイプは気温と湿度で氷結によるアイシング(エンジン不調)になることがある。
日本では落葉が始まるシーズンから私が考えた春小麦の初冬播種くらいのシーズンが危ない。しかし、インジェクションタイプだとガソリンを直接シリンダー(手前)に噴射するため、時間的・物理的にアイシングの心配がないのでエンジン回転数をすべての領域で運用できる安心感はありがたい。
パワーも日本で乗っている172P型の160馬力から180馬力にパワーアップされている。たった20馬力の差だが、上昇中は男子の30代と40代のナニの角度くらい違っているのが体感できる。
チノ飛行場をテイクオフして一路キャレキシコ飛行場に向かう。行程の半分は砂漠だが灌水整備された農業地帯を眼下に望むことができる。
昔は計器のみで飛行訓練を受けたが、現実の運用では疲れてしまうので、20年前から飛行機用のGPSが装備されているのが常識になった。
メキシコ国境は上空からではまったくわからないので、このGPS画面を見ながらメキシコ側に入らないように注意しながら着陸態勢に入る。
このキャレキシコ飛行場は、国境から300mほどのところにフェンスに沿って平行に作られ、カフェが一軒あるだけの税関事務所に誰もいない“国際飛行場”になっている。オレンジジュースを一杯だけ飲んでトンボ帰りだ。
帰りの機中でチャン教官といろいろ話をした。今年の暮れには飛行が1500時間になるので米国の航空会社の試験を受けるそうだ。並行して米国陸軍の予備役に入ると就職に有利らしい。予備役だと年に数週間程度の訓練のみで常勤の陸軍よりも人気があり、入隊は当然狭き門になる。今年は800人の枠しかなかったが、韓国軍の経験もあり年末には新たな就職と予備役になるそうだ。
日本も早く徴兵制を導入すべきだな。男子は長刀、女子は高射砲の打ち方くらいは学んでおいても損はないだろう。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
北海道長沼発ヒール宮井の憎まれ口通信
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