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これは買う側として本来あるべき姿、理想ではないだろうか。カルビーが構築したのも一種のバリューチェーンだ。
企業の農業参入などやるべきではない。実際、カルビーは自前で原料生産はしていない。
貯蔵施設もこうしたバリューチェーンの一環となりうる。必要なら投資する用意はある。これまでも投資してきた。生産者側がリスクを取るより、流通側がリスクを取ったほうがいいケースも多々ある。貯蔵施設のコストが下がれば、そのぶん利益率は上がる。
プレイヤー同士が長期的に安定した関係を結んで利益を出していけば、生産者にばかりシワ寄せがいくことも少なくなると思う。我々も、こうしたバリューチェーンの構築を目指してきた。そのなかで、いちばんアテにしてきたのは農協などよりむしろ農家だ。農協は、そんなふりはしていないが、商社と同じだ。農家が持ち込んだ農産物を売りさばく。一種の流通業という側面もある。その農協が抱えている貯蔵施設に問題があるから、我々は一方で農家とのバリューチェーンを築こうとしてきたわけだ。
農家がバリューチェーンのプレイヤーのひとりになってくれるなら、長期的に安定した信頼関係のなかで、お互いの利益を確保することができる。相場を見ながら色気を出して、突然取引相手を変えて「裏切り」をするような事態も避けられるのではないか。そのような見通しが立つなら、新たな貯蔵施設などへの投資も可能になるはずだ。
いま必要なのはマーケット側による投資だ。農協が行政ともどもつくってきた仕組みもバリューチェーンのひとつといえなくもない。ただ、貯蔵施設を見てもわかるように、その弊害は大きくなっている。だとしたら、民間それぞれが新しいバリューチェーンを築くべきではないだろうか。 (まとめ/八木誠一)
その補助金は目指す経営に合っているか
一見おいしそうな補助金。資金不足を補う面でも、飛びつきたくなるのはわからないでもない。しかし、そこに落とし穴はないか。得したつもりが、「こんなはずでは」となるケースも少なくない。補助金を使うべきか否か。使うならどんな点に留意すべきか。
国による農業への補助事業は、現在165件に及ぶ。そのうち、倉庫や貯蔵設備などの施設に対する補助がある事業は次ページ表のとおりである。
【自由度が制限される補助金制度
資金が足りないがために、やりたい経営の投資を躊躇することもあるだろう。そんなときは、金融機関から資金調達するよりも補助金を受け取ったほうが得である。ただし、補助事業の条件に合わせるのではなく、自身やその組織が目指す経営に補助事業が合っているかどうかを見極めなければならない。補助事業に申請が認められることが、その後の経営を保障するものではないからだ。
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