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海外のグレイン・ビンに
目を付けた先駆者たち
経営上必要に迫られて海外の貯蔵乾燥(グレイン・)ビンを早くから導入した人たちがいる。なぜ輸入物が必要だったのか。どれだけメリットがあったのか。設置や運用にあたって留意すべきことは何か。匿名の方も含めて、自身の経験を経営者視点から披露してもらった。
CASE1 米国製を小麦や大豆などに
★営農規模の拡大に対応すべく米国製のグレイン・ビンを導入。組み立ても自ら行ない、工賃を合わせても国内価格の3分の1ほど。
米国の穀物地帯を走ると、貯留と簡易な乾燥の両方を備えるシルバーに輝く円錐状のグレイン・ビンを多く見かける。
私の農場では30haの麦に対応するため、1998年に150tのグレイン・ビンを米国の穀物工場設計会社から2基導入した。
【標準仕様を条件に合わせて改造】
理由は簡単だった。経営規模が大きくなり、新規の乾燥施設の導入が急務となっていたからだ。国産も選択肢にあったが、見積額に驚いた。そこで、米国の農機具店の紹介で先ほどの設計会社に依頼したところ、北海道の苫小牧着の価格で国産の4分の1、組み立て工賃を入れても3分の1程度でできることがわかった。
組み立て方法は、先駆者としての実績があった滋賀県の方に頼んで、教えを請うことになった。といってもそう難しいものではなく、まずルーフを作り、パネルを単純に積み重ねれば完成だ。考えてみれば米国の普通の農家が自分たちだけで組み立て可能なのだから、北海道であろうと同じように簡単だった。
ただ、私の嫌いな言葉のひとつ“日本独自仕様”は必要かもしれない。送風機の能力は、搬入される穀物の水分の関係から米国標準仕様の3倍の能力は欲しい。標準仕様だとグレイン・ビンの底から上部30cmくらいがチャンバー層(空気たまり)になるが、将来のメンテナンスも考え、次のように対処した。
一パネルの高さおよそ115cmをチャンバー層にしたり、グレイン・ビン上部のルーフにある排気ダクトの数を増やし、ダクトの形状も台風に対応するために垂れ下がったタイプに、降雪量が多い地帯ではディバイダーの装着も欠かせない。その他、タンクの内壁は取り外し可能な二重層のものが必須だったり、貯蔵された穀物を内部で撹拌させる装置も不可欠になってきた。
【多品種同時収穫に対応できる安心感】
これですべてがうまくいったわけではなかった。
大きな計算間違いをやらかしたのだ。1立方mを1tで計算してしまった。小麦、大豆の比重は乾燥状態で0.85くらいになるのでその分、体積を多く計算しなければならなかった。
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