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特集

根深い農産物貯蔵施設問題 ハコモノに巣食う利権


「買う側が賢くならないと、売る側が有利になります」
若いころに聞いた、安い情報は売り手の意図が入っている。自分で情報を取りに行けという先輩の言葉に動かされ、情報収集をするようになった。
いま、年に一度は海外に機械や設備を見学に行っている。より多くの情報を持っていれば、どんな仕様で、どんな性能で、どんなサイズのものが自分の目指す経営に合っているのか、その価格は妥当なのかどうか、その後の経営が成り立つのかどうかを判断できる。
ただほど高いものはない。国の半額の補助事業でといったものには手を出さないようにしている。半額補助の妥当性も考えものなのと、半額もらえることで自分や従業員の向上心が失われることが怖いからだ。
それよりも自分に磨きをかけてくれるものは人脈である。
国内の機械や設備の情報を交換したり、海外の情報を教えてもらったりしている。海外の展示会などに行くときには、それぞれの国の言葉を話せるわけではないので、知人と一緒に行ったり、通訳を介したりして各メーカーと交渉している。
家族をはじめ、仲間たち、師匠たち、ひいては販売先の人々が力になってくれる。ときに、たしなめてくれる友人がいることがラッキーだといえる。 (文/平井ゆか)

CASE3 カナダ製を小麦貯蔵に

★10年ほど前に、小麦の貯蔵タンクをカナダから輸入。サイズが決め手になったが、結果的にコストのメリットも。グループ全体で、200ha以上の圃場で小麦を生産・乾燥し、農協に出荷している。

【農協施設のデメリットを考慮】

既存の連続流下式テンパリングと乾燥機に加え、同型機36tを2基増設したときに輸入したのが、貯蔵ビン500tを4本と乾燥機のモーター、エアーファン、昇降機である。
増設した理由は将来、グループが耕作面積を拡大したとき、収穫時の労働力不足が予想されることと、収穫が遅れることによって雨に当たり穂発芽が起きるのを防ぐためだ。
農協に出荷するには、収穫と乾燥の作業と並行して運搬までしなければならない。収穫期は農業者たちが集中するため、長いときは5~6時間待たなければならないことがある。その間、収穫と乾燥作業はストップする。収穫適期の天候が良い日という限られた日数で効率よくコンバインを走らせて収穫作業をするために、一時貯蔵することで納品にかかる時間をカットしようと考えたのだ。
生産している秋まき小麦は7月下旬から8月上旬に収穫し、10月までには順次、納品を終える。つまり、貯蔵期間は長くて3カ月である。当然、コストは高くなるが、大規模化によるメリットとのバランスを考えて購入を決めた。

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