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特集

根深い農産物貯蔵施設問題 ハコモノに巣食う利権



【サイズの豊富なカタログから選択】

当時、国内には農協が使うような大きな貯留ビンはあったが、私たちにとっては、それでは大きすぎた。
カナダ製の貯蔵ビンを輸入している会社からカタログをもらったところ、国際商社のいわゆる穀物メジャーが使うような大きなサイズのものから、日本製のものより小さなサイズまでがそろっていた。そのなかから経営規模にちょうど良いサイズを選んだ。
また、乾燥機については送風するファンの圧力が高いことが魅力だった。火力による温風を送って乾燥させるテンパリング式には、送風の圧力の強さが欠かせない。
ファンを動かすモーターは、国内では200Vが一般的だが、カナダ製には400Vのものがあった。そのメリットは、細い電線でも同じ出力のモーターを回すことができ、工事もしやすく、モーター自体も小型で済むことだ。国内では400Vの売電がないため、自家発電をして対応した。
貯蔵ビンについてはサイズが決め手ではあったが、結果的に、コスト面でもメリットがあった。そのことがわかったのは、後に、他地域で国内調達した同じサイズの貯蔵ビンの価格が約2倍だったということを知ったからである。国内メーカーは輸入品を扱うと商社が入り、開発しても販売数が少なく、高くなるというのは理解できた。
機械については、アフターメンテンナンスや部品交換が必要になったときのバックアップがあるほうを選んでいる。それを自力でやるには、輸入元の国の言語を使うことができ、インターネットで手配する力量が必要だからである。
乾燥機や貯蔵ビンの場合、それほどメンテナンスに困ることはないため、アフターサービスがない買い切りでも問題ないだろう。
国内メーカーにもっとなんとかしてほしいと思いながらも海外製を選んだのは、経営に合った選択をした結果である。 (文/平井ゆか)

流通のつなぎ目=貯蔵施設から
変わる、変える

農産物貯蔵施設の問題は、生産と消費をつなぐ流通にとっても影響は大きい。高コスト体質の施設は、生産者だけでなく実需者・消費者にも不利益をもたらしている。貯蔵施設を利用あるいは自ら運営する立場にある、某流通関係者から話を聞いた。

【既存施設は高コストで使いにくい】

カントリーエレベーターの場合、農協の県中央会の承認が得られれば、我々のような流通企業でも料金を払って使えることになっている。ところが実際には、時期的な理由があったり、あるいは理由そのものがよくわからなかったりして、なかなかこちらの思いどおりにはならない。

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