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【土と施肥の基礎知識】
土の化学性(1)pHと電気伝導率
- 東京農業大学 名誉教授 全国土の会 会長 後藤逸男
- 第8回 2016年08月12日
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土の物理性がよい土とは、団粒構造が発達し、下層への水はけが適度な土である。そのような状態は、圃場に穴を掘って下層の緻密さを調べたり、作土を手に取って観察したりすれば、誰でも簡単に判断することができる。しかし、土の化学性の良し悪しはそうはいかない。そこが目には見えない化学性の厄介なところだ。
土の化学性とは、pH、塩類濃度、作物の生育に不可欠な養分(必須要素)の多少で、土壌分析により明らかになる土の性質である。
ただし、土がなくても、それらの生育に必要な環境が整えば、作物を栽培することができる。その事例が植物工場である。植物工場では基本的に養液栽培なので、作物の栽培期間中に、土の代わりに養分を水に溶かして供給し続けることで作物が育つ。
それに対して、土耕栽培では、播種や植え付け前に施用する基肥が基本で、必要に応じて追肥を補給すればよい。なぜなら、土には養分を蓄える保肥力(肥(こえ)もち)が備わっているからだ。この保肥力も、土の化学性のなかで重要な項目のひとつである。
2.人の臓器や健康診断項目に
人が健康に暮らすには年に一度の健康診断が不可欠といわれるように、土の健康を保つためのツールに土壌診断がある。土の化学性も土壌診断の分析項目に該当する。先に述べたpHや電気伝導率(EC)で示される塩類濃度、保肥力の大小を表す陽イオン交換容量(CEC)をはじめ、分析項目が多く、しかもそれぞれに数値を伴うため、診断結果がわかりにくいという人も多い。しかし、それぞれの分析項目を人の健康診断項目、あるいは臓器に例えるとわかりやすい。
ただし、土がなくても、それらの生育に必要な環境が整えば、作物を栽培することができる。その事例が植物工場である。植物工場では基本的に養液栽培なので、作物の栽培期間中に、土の代わりに養分を水に溶かして供給し続けることで作物が育つ。
それに対して、土耕栽培では、播種や植え付け前に施用する基肥が基本で、必要に応じて追肥を補給すればよい。なぜなら、土には養分を蓄える保肥力(肥(こえ)もち)が備わっているからだ。この保肥力も、土の化学性のなかで重要な項目のひとつである。
2.人の臓器や健康診断項目に
例えるとわかりやすい
人が健康に暮らすには年に一度の健康診断が不可欠といわれるように、土の健康を保つためのツールに土壌診断がある。土の化学性も土壌診断の分析項目に該当する。先に述べたpHや電気伝導率(EC)で示される塩類濃度、保肥力の大小を表す陽イオン交換容量(CEC)をはじめ、分析項目が多く、しかもそれぞれに数値を伴うため、診断結果がわかりにくいという人も多い。しかし、それぞれの分析項目を人の健康診断項目、あるいは臓器に例えるとわかりやすい。
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後藤逸男 ゴトウイツオ
東京農業大学 名誉教授
全国土の会 会長
1950年生まれ。東京農業大学大学院修士課程を修了後、同大学の助手を経て95年より教授に就任し、2015年3月まで教鞭を執る。土壌学および肥料学を専門分野とし、農業生産現場に密着した実践的土壌学を目指す。89年に農家のための土と肥料の研究会「全国土の会」を立ち上げ、野菜・花き生産地の土壌診断と施肥改善対策の普及に尽力し続けている。現在は東京農業大学名誉教授、 全国土の会会長。
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