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肥料や堆肥などとして施用された窒素は、土壌微生物の作用でアンモニア態窒素を経て最終的には硝酸態窒素(硝酸イオン)となる。畑作物はそれらを根から吸収して大きく育つ。硝酸イオンは陰イオンなので、陽イオンのカルシウムイオンがその相手となり、土の中に硝酸カルシウムができる。
硝酸カルシウムは水によく溶けるため、露地の畑では降雨により容易に下層に移動し、最後には地下水に溶け込む。これが溶脱と呼ばれる現象で、わかりやすく例えれば「駆け落ち」である。この溶脱により、露地の畑では施肥直後を除いてECが高まりすぎることはないが、問題は雨が降らないハウス内の土である。
ECの最適値は0.3mS/cm程度で、未耕地なら0.1mS/cm以下であることも多い。しかし、雨の降らないハウス内などでは、作物の種類により異なるが、通常ECが1mS/cmより高まると生育に支障が出やすくなる。なお、高糖度トマトなどの栽培では、あえてECを高めて水分ストレスをかけることもある。
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後藤逸男 ゴトウイツオ
東京農業大学 名誉教授
全国土の会 会長
1950年生まれ。東京農業大学大学院修士課程を修了後、同大学の助手を経て95年より教授に就任し、2015年3月まで教鞭を執る。土壌学および肥料学を専門分野とし、農業生産現場に密着した実践的土壌学を目指す。89年に農家のための土と肥料の研究会「全国土の会」を立ち上げ、野菜・花き生産地の土壌診断と施肥改善対策の普及に尽力し続けている。現在は東京農業大学名誉教授、 全国土の会会長。
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