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トウモロコシのはなし

飼料業界の動向

本連載第1回で、輸入トウモロコシの約65%が畜産用飼料に充てられているという話をした。現在、畜産用飼料をつくる会社は65社あり、全国で115工場が稼働している。このうち全農系が21工場で、残りは商系と呼ばれる企業傘下の工場である。
国内でつくられる配合飼料は年間およそ2300万t。もともと飼料業界は大企業による寡占化が進んでいたが、ここ3年ほどで業界内での業務提携が進んだ。その結果、全農が約30%、伊藤忠飼料(株)・中部飼料(株)が約20%、フィード・ワン(株)が約20%、日清丸紅飼料(株)が約15%、日本農産工業(株)が約10%で、この5社で約95%を占め、残り5%のシェアをほかの中小規模メーカーで分け合う形になっている。

飼料生産拠点も集約化傾向

トウモロコシの輸入窓口である主な港湾と、そのトウモロコシを利用して配合飼料を製造する配合飼料工場の分布を図に示した。
国内最大の配合飼料拠点は、茨城県の鹿島港近辺だ。次いで大きいのは鹿児島県の志布志港近辺で、鹿児島港を加えた3港で全体の約35%のシェアを占める。これに続くのが名古屋港(愛知県)、水島港(岡山県)、八戸港(青森県)、釧路港(北海道)、苫小牧港(北海道)、石巻港(宮城県)周辺で、ここまで合わせるとシェアは約79%となる。飼料生産拠点の近くに畜産主産地があることからも、輸入トウモロコシあってこその日本の畜産業であることがわかる。
前述のトウモロコシの主要輸入港湾は、パナマックス船による一括大量輸送に対応した港である。パナマックス船とは、パナマ運河を通行できる最大サイズの船のことで、載貨重量は6万~8万t、トウモロコシ満載時に必要な岸壁水深は14m以上である。
懸念されるのは、2020年までにはさらに大型のポスト・パナマックス船(載貨重量が8万~12万t)の利用が見込まれていることである。港湾設備としては岸壁水深が17m以上必要となり、これに対応できる港湾として、財務省は鹿島港、志布志港、名古屋港、水島港、釧路港を選定している。トウモロコシの輸入窓口となる港湾はより集約されることになるのだ。
この集約化が何を意味するかというと、1つは輸入トウモロコシを主原料とする飼料費の低減である。船が大きくなって1回の積載量が増えれば、輸送賃や人件費が低減できる。トウモロコシ相場はこの輸送コストの影響も少なからず受けるため、飼料費も低減する可能性が高い。

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