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若杉さんが「アメリカだからビーフ・ブリトーが食べることができるんだよな~」としみじみと語っていた。メキシコの田舎に行ったときに似たような家族経営の食堂に入り、ビーフ・ブリトーを頼んだところ「ない」と言われ、なんか肉っぽいものを頼んだがパサパサのひどいものだったらしい。つまり貧しいメキシコ本国ではビーフは高嶺の花でビーン・ブリトーが主流になる。
およそ30年前の話らしいが、いまでは米国・カナダ・メキシコでは北米自由貿易協定が結ばれ、米国から安いコーンがメキシコに渡り、その結果、畜産業が発展しておいしい肉が食べられていると聞く。
LAのコリアン・フードも同じだ。現地のコリアン・ピーポーによると肉の質や量、そして野菜の新鮮さは本国よりも高いそうだ。
輸入価格は安い牛タンが
焼き肉店ではなぜ高い
じつは米国の日本食も同じ傾向だ。どう考えてもこんな料理、日本にはないよな、っていうのが存在する。でもカリフォルニア・ロールは多方面のバッシングを受けながら生き延び、いまでは北海道の回転寿司の定番になっている。日本の多文化を受け入れる寛容性よりも米国の多文化から生まれる豊かな発想のほうが今後の日本の農村社会においても有益であることは間違いないだろう。
帰りに先ほどのちょいセレブに人気のスーパーのトレーダージョーに寄り夕食の買い出しをした。ポンド当たり12ドルのフィレミニオンは安いなーと思いながら、好物の牛タンを探した。見当たらない。たまたま若いブッチャーがいたので聞いてみた。「牛タンはないの?」。 アミーゴ系の人相の彼は予測をしていなかったであろう質問に驚いた表情を見せた。「取り寄せになります。普段は購入する人はいないので…」
ふーんと思ったが、 立て続けに価格を聞いてみると「4ドルくらいだったような」。牛タンがあまり売れていないようなのは確かだ。
若杉さんの自宅に帰る車中で先ほどの牛タンの話で盛り上がった。 若杉さんの「アミーゴとアジア人しか食べないからな~」で納得したが、ポンド当たり4ドルってことは100g当たり100円になり、先ほどの最高級ステーキ用と比較すると4分の1の価格だ。
ネットで調べてもっと驚いた。TPPで牛肉の関税が現在の38.5%から27.5%になり、16年かけて9%になると決まったが、それでも多方面で影響があると言われる。
驚愕の事実は牛タンの関税だ。現在でも12.8%しかないことだ。 それがTPP締結後は半分になり、11年目にゼロにするらしい。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
北海道長沼発ヒール宮井の憎まれ口通信
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