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北海道馬鈴薯でん粉物語

トラクター営農時代を迎えての馬鈴薯栽培に関する農業機械の開発改良技術 茎葉処理機


塊茎の輸送にはトラックが使われることが多い(写真10)。当初は底部をV型にして中央にベルトコンベアを配置し、これを油圧モーターで駆動して排出する方法が考え出された。そうこうするうちに荷台の後部に40×60cmくらいの穴を開けておき、運搬中はふたで閉ざしておく。排出のときは、荷台をダンプして傾斜をつけると静かに排出でき、まったく問題のないことがわかった(写真11)。現在はこうした方式が一般的になっている。
技術は時代で進歩するが、我が国も栽培面から改善され、周辺技術が整備されるとヨーロッパ並みに合理化されてきた。北海道のポテトハーベスターの技術水準は1畦用ではあるが、ヨーロッパを凌ぐもので注目されている。
現在、世界的に離農が増えているが、これは農業についてはどこの国もなんらかの形で支援している。政府の財政が逼迫(ひっぱく)すると、農業予算をカットせざるを得ない。これは我が国も同じことである。中途半端な経営ではやっていけないので、離農が増える理屈である。
農業を衰退させることはできないので、生き残りを賭ける農家は規模を拡大して低コスト化に取り組もうとする。ヨーロッパの農機具メーカーのメジャーは大型機械化に備えた技術シフトをしている。たとえば、200haを3人で経営していたとすると、遠からず300haに拡大することになる。同じ人数の3人で対応しなければならないので、現在よりも大型化しなければならないのである。
しかし、農場を視察すると条件からみてすべてが大規模化できるわけではない。メジャーは大型機械の生産にシフトしていると、中堅農家向きの技術が空白になる。ドイツのハノーバー展に北海道のポテトハーベスターを出展してみると、これがかなり評判になっている。北海道の緻密な構造のポテトハーベスターが評価されているのである。ヨーロッパの技術を導入し、技術水準を高めてきたが、これがヨーロッパに輸出できるとなれば、日本の技術が認められたことであり、すばらしいといえる。
進歩したポテトハーベスターを写真12~14に示した。日本人は農耕民族であり、農耕技術には長けている。我が国は工業国であるだけに新技術を農業機械に組み入れることができるのである。これを世界に示したい。これまで欧米の技術を導入してきたが、これからは日本の技術で農業発展に貢献したいものである。それが恩返しというものであろう。
タンカー型ポテトハーベスターによる塊茎のばら扱いが一般化し始めたころ、収穫作業をもっと省力化すべきとされ、ポテトチップを製造している会社が米国から2畦ハーベスターを輸入した。同国で最も多く使われているハーベスターであると紹介されたが、作業試験をしてみると塊茎の損傷が多く、とても北海道では使えるハーベスターではなかった(写真15)。コンベアで塊茎を搬送する際、転がりが多く、損傷を発生させる。コンベアの速度を調節するなど手当てをしたが、試験成績会議を通過させる内容にはならなかった。成績会議で認められないと購入の際の補助会の対象にならないので、困り果てたがどうすることもできなかった。

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