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イベントレポート

地域の食文化を再発見して生かす 農村経営研究会 2016年第3回定例会


金丸氏が地域づくりにおいて大切だと考えているポイントは、5つある。(1)人の真似ではなく地域にあるものをまず知ること、(2)環境のことをきちんと打ち出すこと、(3)景観づくりをすること、(4)農業と商店街、観光を連携させてまちづくりすること、そして(5)オリジナリティのあるものをつくって発信することだ。
地域によって形は異なるが、ノウハウについては地域を越えて連携させたい。その目的で始めたのが「大人の合宿」という取り組みである。合宿を通じて、訪問した側が学ぶこともあれば、訪問された側が学ぶこともあるという。
大人の合宿が功を奏した地域のひとつに長崎県大村市がある。人口約8万人のこの地域に、年間50万人を超える観光客が押し寄せる。その目的は、金丸氏が地域の楽しみを村ごと売る直売所と称賛する「おおむら夢ファーム シュシュ」だ。
直売所が位置する山間部には、観光ブドウ農園が広がっていたが、バブル経済崩壊後、その集客力が低迷した。この直売所は再び観光客を呼び戻すために、農業者らは野菜の販売を始め、お金を出し合ってジェラート工房をつくったのが始まりだ。昔ながらの農村の風景のなかで、旬のフルーツを使った手作りのジェラートは、都会の若い女性にヒットし、福岡などから約20万人が訪れた。
金丸氏の仲間たちがその地で合宿をしたのは、ジェラート工房が成功したころだ。合宿に参加した人々に学びを与えるだけでなく、受け入れた大村市にとっても、直面する課題解決のきっかけになったという。
成功の裏で、リピーターが少ないことが悩みだった。ジェラート工房1軒では観光地として成り立たない。そこで、ほかの地域のノウハウを活かして、周囲の観光農園のパンフレットをつくり、ケーブルテレビなどで宣伝したところ、大村市で一日中楽しむ観光客が増えた。宿泊所を確保するために取り入れたのは、欧州では一般的な農家民泊である。こうした地域づくりの努力が実り、年間50万人超えの観光客が訪れる地域になったのである。

成功事例の真似は失敗の元!?

金丸氏は地域づくりの成功事例だけを見てきたわけではない。失敗事例からも学ぶことはある。
まず失敗の原因として指摘したのは、若い人の知恵を入れる手間を抜いていることだ。地域に必ずいるであろう知恵を持っている人々を呼ばずに会議を進めると、昔の栄光をどう取り戻すかに終始する。そこが失敗の元になる。

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