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昆 もう一つ、思い出しました。読者を対象に親子アンケートを取ったことがあるんです。父親世代は、初めたころの経営規模や売り上げに対して、5倍か10倍、数十倍になっているという回答でした。ところが、その息子世代に5年後、10年後に経営規模をどれくらいにしたいかと聞いてみると、多くて2倍、5倍といった回答で、全然たくましくないんです。ところが、新規就農だったり、勤め人だったりすると、50倍にすると答えるんですね。後継者だなんていわないで育てたら、ずっとたくましい息子に育つかもしれないなと思いましたね。
高見澤 外部のみなさんが起爆剤になって、きっかけをつくってくれたり、発展の芽を育てたりしていることは確かですよ。現実的にうちの後継者を考えたとき、息子が入ってくれたらいいなとは思いますけど、事業の発展だとかいろんなことを考えると、ここで農業をやりたいと希望を持ってやってくる人がいたら、その人に託したいですね。
昆 親の側からしたら、農業を継がせることじゃなくて、生きること、自分の道を勝手にやれよと勧めることですね。苦労を買って出る人が出てくるのが一番うれしいですね。
高見澤 自分が苦労したからよせよなんて思いませんし、私よりもっと苦労してデカくなれよといいたいですね。
Case1
泣いて喜んでもらえる仕事
だからやめられない
~農業・林業機械のオーダーメイド部品加工サービス~
【まったくの門外漢の挑戦】
高垣達郎は農業・林業機械部品の「ワンオフ対応屋」として24時間365日、就寝中も「あのギヤシャフトの研磨寸法はベアリングにキツめで……むにゃむにゃ……」と寝言を口にするほど農業機械漬けの毎日を送っている。ワンオフとはオーダーメイドの特注品という意味だ。親が機械加工業を営んでいたということはなくまったくの門外漢でこの業界に入り、2011年に(株)ロブストスを創業した。
現場でお客様の要望を聞き、必要な部品を想定する。加工条件を踏まえてそれをどのように製作するのがベストかを考えて、その場で採寸して図面を描き、協力工場と打ち合わせをして部品加工を依頼する。次に現場を訪問する際には部品を仕上げて持っていく。これが彼が構築した業務体制だ。
群馬県を拠点に関東平野を行ったり来たりしているが、ときには北海道オホーツクまでの距離を日帰りで出向くこともある。
加工技術や工作機械は一切持ち合わせていなかったが、一方で業界のしがらみがないため、加工業者の得意不得意を客観的な立場で判断し、地縁血縁にしばられることなく協力工場を募ることができる点が彼の強みだ。
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