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編集長インタビュー

商機と見るや国境をも簡単に越えるオランダ人 東インド会社を作った国の末裔は農家である前に商人であり

本誌2013年8月号から「紀平真理子のオランダ通信」という連載を始めた。きっかけは彼女から編集部宛てに届いた一通のメールだった。農業に関係したことはないが、オランダに移住してから関心を持ったという点に本誌編集長の昆吉則が反応し、以来、先入観のない彼女の目から見たオランダの農業事情が38回にわたって披露されてきた。今回は本帰国に際し、これまでの見聞から得たオランダ人の実像を昆とともに語り尽くす。 文・撮影/永井佳史

オランダで見るべきは
技術ではなく、人

昆吉則(本誌編集長) オランダにしても、開発途上国にしても、日本を捉える際の合わせ鏡にしようとたびたび説いてきました。小社主催の海外視察ではそのテーマを常に意識しながら、同時にその延長線上で日本から農産物を輸出するよりメイド・バイ・ジャパニーズのほうが意味があると訴えてきたんです。そもそも食文化を輸出しない限り、農産物なんか輸出しても大して売れませんからね。何より日本の農産物は高価ですから、そのコストを下げる努力もなしに輸出振興なんておかしいと言ってきたわけです。
紀平さんのように日本農業を理解するには海外に行くべきなんです。しかも、彼らがいかに資本主義というかマーケットの世界で国境を越えるなかで、どんなことを考えてどんなことをしているのかということを見ることが重要だと話してきました。
紀平真理子 オランダ農業を目の当たりにして、やっぱり技術がすごいなというのが初めの感想でした。その後、何度か日本からの視察者を案内したんですけど、私と同じような思いを抱きつつ、日本ではこの技術は使えないなということで終わってしまうんです。視察目的が人ではなくて技術なんですね。私が訪問した数々の農家は技術的に進んだものを持っている人ももちろん多いんでしょうけど、どちらかというとそういうことより経営者という感じがしたんです。日々のマネジメントの仕方やワーカーとして雇っているポーランド人との付き合い方とか、むしろそれらの点に目を向けてもらいたいと思いました。

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