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編集長インタビュー

商機と見るや国境をも簡単に越えるオランダ人 東インド会社を作った国の末裔は農家である前に商人であり


昆 日本だと農家って非常に特殊な存在というイメージがいまだにあります。一方で、オランダ農業がなぜ成長したのかといえばそれは商人の国だからです。東インド会社を作ったような商人の国で、農家である前に商人であるというところが前提にあります。日本でオランダ農業を取り上げると、施設園芸の技術のことばかり語られますけど、肝心の経営や商売人としてのセンスの部分が抜け落ちています。オランダを見るならむしろそこで、商人としてのオランダ農業や農家を合わせ鏡にしなければならないところがあいかわらずこのありさまです。首相も農水大臣もオランダモードにしようとするわけですからね。あれは馬鹿げています。

したたかなオランダ人

紀平 オランダはトマトの生産が盛んで、技術が進んで平方m当たり約60kgと収量がものすごく多くなっています。すると、価格が下がって売り先もないということで、いまのトマト農家の経営は相当厳しいです。キロ当たり約5セントですので、日本円でも6円くらいですからね。そこでどういう判断を下すのかというと、なかには倒産もあるでしょうが、従来とは別のマーケットを探したり、他国で生産したり、はたまた作物を変えたりという選択肢から選んでいきます。オランダ人はしたたかなので、とにかく生き残りを図ろうとするでしょう。ビジネスオーガニックなどはその最たる例で、認証を取ってばんばん輸出してそちらをメインにしようという動きが結構あります。日本だと目先の単価がどうとかいう具合ではないでしょうか。
昆 オランダの施設園芸とかだとどんどん規模が大きくなりますよね。そのときに小さい人たちはどうするのかというとコンサルタントになったり……。
紀平 違うビジネスを始めたり。
昆 そこがオランダらしいと思うんです。日本だったら、ここがダメだとなったら政府が介入してきて保護する。農家も国に保護を求める。オランダでは政治的に深刻な話にはしようとしないですからね。
紀平 しないですね。農業も他のビジネスと一緒という考え方があります。過去にオランダ政府が農家を援助したような動きもきちんとしたビジョンがあってのことです。60年代の高度経済成長期に農家だけが困窮したとき、政府は将来的に補助金などへの支出を減らすために、農業分野の輸出マーケットの開拓を優先しました。そこで60年代から離農者促進のための資金サポートを行なっていたんですが、70年代に経済危機が起こって、一時期は離農者への額が一般農場への補助金を上回ったそうです。そんな歴史があるので、いまも続けている農家は自分で選んで農業に取り組んでいるという自負があります。

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