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土と施肥の基礎知識

土の化学性(2)CEC(土の胃袋)

1. 土も「腹八分目」が健康

人に胃袋があるように、土にも養分を蓄えるしくみがある。人の胃袋はまさに袋で、その中に食べたものがたまるが、土の場合は少し違う。土の胃袋は陽イオン交換容量(CEC)と呼ばれ、図1のようにその表面がマイナスに帯電しているため、そこに石灰・苦土・カリ・アルミニウムなどの陽イオンが電気的に吸着される。その概念を人の胃袋に例えただけで、実際に袋状のものは存在しない。
土の胃袋の表面に吸着される陽イオンを交換性陽イオンという。そのうち、石灰・苦土・カリを交換性塩基と呼び、土の中では塩基性(アルカリ性)を示す。一方、交換性アルミニウムは酸性を示す陽イオンで、これと交換性塩基と割合により土のpHが左右される。
石灰・苦土・カリは植物の必須要素でもあるが、多くなりすぎると土が塩基性に傾き、微量要素欠乏により作物の生育が阻害される。逆に、交換性アルミニウムが増えると、土が酸性に傾くとともに、根の生育を著しく阻害する。
CECに占める交換性塩基の割合(塩基飽和度)が80%程度、交換性アルミニウムが20%程度の状態が「腹八分目」で、多くの作物が最もよく生育する。そのような状態の土のpHを測定すると6.0~6.5を示すことから、我が国の土壌学ではその範囲の土を中性と見なすことにしている。人と同じように、土も「腹八分目」が健康によい。なお、土の胃袋を科学的に表現した用語が「土のコロイド」である。

2.土の胃袋には
大小と強弱がある

土の中でCECの機能を持つ成分は粘土と腐植である。したがって、CECの大きさは土性(砂と粘土の混ざり具合)と腐植含有量、それに粘土の中に含まれる粘土鉱物の種類により決まる。
海岸近くの砂丘地ではCECが5程度以下と小さく、腐植を多量に含む黒ボク土では40以上にも達する。通常、土のCECは15程度以上が最適値とされるが、大きいだけが能ではない。

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