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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

第二十一章 投資の心構え(2)財務状況から見た投資チャンス


トラクターにこだわらない人たちに共通するのは、おおむね予定時間内に作業目標を達成できれば問題なしと感じている点である。中古で性能がシンプルなら安い。高額な支払いはもったいないと考える彼らこそ、じつはしっかり者の経済家なのだ。
一方のこだわり派の筆頭は、機械を最大限に利用している農業者だろう。小さいころからトラクターへの憧れを培ってきた農家の息子はなおさらのこと、愛車の選び方から愛車に搭乗したときの高揚感まで、仲間が集まると話は尽きない。1人で大面積をこなそうと考えれば、機械の性能は作業量に影響を与えるだけに趣味如何にかかわらず、そのこだわりは経営判断に欠かせないものとなる。
いまや国内メーカー、海外メーカーのラインナップが並び、彼らはトラクター購入の最前線に立っている。しかし、ここで気をつけるべきなのは、高馬力、高性能なトラクターほど高額になることである。
地元の仲間の一人は「農家は馬を大事にしてきた。現代はトラクターに代わったが、お金をかける値がある」と豪語する。製造業のプロが生産のメインを担う道具にこだわりを持つのは当然である。しかし、性能以上に外観などの好みに左右されすぎていないか、どこで採算が合うと考えるのか、冷静に見極めたい。経営資源となる道具である以上、帳簿を眺めて買い物をする癖をつけることが、資金繰りを苦しくしないための鉄則と肝に銘じよう。投資の失敗は、資金的にも、精神的にも苦痛であるのだから。

水槽と水の流れに例えて
経営の良し悪しを捉えよ

昨今、年度末の帳簿整理を手計算、手作業で行なうという方はだいぶ少なくなってきたのではないだろうか。財務・簿記ソフトウェアで処理すると、自動更新で期首の貸借対照表が作成される。ハウツーを習得すれば、税務申告はこなせるかもしれないが、帳簿の仕組みくらいは知っておいたほうがよいと思う。
帳簿の基本は貸借対照表と損益計算書の財務2表である。久しぶりに登場するので、おさらいしておこう。
経営は期首貸借対照表から取引が始まり、会計期間中に発生した取引を仕分け、帳簿に記帳していく。取引のなかで、収益と費用をまとめたものが損益計算書である。会計期間は一般的に1年だが、その間の取引の結果を期末貸借対照表にまとめる。以前に説明したことがあるが、財務2表を6つの数字で捉えたのが図1である。
さらに今回は、お金の動きを水槽と水の流れで捉える方法(図2)を紹介したい。水槽は左側から期首の財務状況、会計期間中の取引、期末の財務状況を示している。

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