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独断注目商品REVIEW

鮮度保持フィルム P-プラス


P-プラスのフィルムには70ミクロン前後の微小な穴加工が施されている。通常のフィルムより酸素の透過量を上げられるが、青果物の呼吸量は品目と温度で異なることが知られており、透過量が多すぎればしおれや変色に、少なすぎれば腐敗につながるとは上述したとおりだ。
そこで同社では、営業サイドで青果物の種類や重量、流通といった各条件を確認後、都内の大田市場に隣接した自社の青果物評価CSセンターで各種データなどから個別に鮮度保持フィルムを試作し、仕様を決める段階を踏んでいる。依頼された案件ごとにカスタムメイドで最適なフィルム透過量となるよう、穴の大きさやその数を決定していく。これによって、包装内の青果物が呼吸するのに必要な酸素の取り入れと二酸化炭素を放出する環境が整う。フィルムの透過性と青果物の呼吸とのバランスで、内部は徐々に低酸素・高二酸化炭素状態のガス濃度になり、やがて呼吸が少なくなる、いわば青果物の冬眠状態に導く。
使用例を挙げたい。枝豆は、糖とアミノ酸の一種であるグルタミン酸の含有量が多いほどおいしいといわれている。同社によると、P-プラスで包装した枝豆は、ネット包装やOPP穴開き包装に比べそれらの含有量を多く維持できたという。また、水分の蒸散による重量の減少を防ぐことでみずみずしさも保てたとしている。
生産・出荷をはじめ、輸送や販売、ごみ問題までいろんな場面で導入メリットが考えられる。消費者からしても、とれたてのおいしさを大切な栄養も損なわずにそのまま食卓で楽しめる利点がある。
最近では、水蒸気を透過する結露防止フィルムを開発し、輸出用のサツマイモで採用されたという。従来はシンガポールへの船便での輸送に際し、4割を品質ロスで処分せざるを得なかったものがいまではゼロに近くなって喜ばれているそうだ。
(永井佳史)

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