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イベントレポート

調理用トマト普及の鍵を握る「ソバージュ栽培」/新世代アグリカルチャー育成講座

ソバージュ栽培の
確立に向けて

トマトの販売額は野菜のトップクラスで、好きな野菜ベスト3に入る、青果売り場の重要品目のひとつと言える。しかし、生食が主流のトマトの食文化が影響して、日本のトマト消費量は海外と比べると、相対的に少ない。日本が海外並みのトマトの消費量を目指すためには、トマトの調理・加工文化の成熟が課題としてある。その市場創造に必要なのは以下の3点。(1)生産者の採算に見合う生産コストの実現、(2)実需者の調理・加工用途に見合う価格形成、(3)海外から輸入されるトマト加工品に対する差別化(食味・機能性など)。
これらの課題を解決する挑戦の核となるのは、ソバージュ栽培と呼ばれる、トマトの新しい作型である。
ソバージュ栽培とは、トマトを露地で、野性的(ソバージュ)に育てる栽培方法。施設栽培とは異なり、できるだけ設備投資を少なくして作業を省力化することで、低コスト・高収益を目指す。
この栽培法の広がりの背景には、産官学の垣根を超えて周囲を巻き込むキーパーソンやイノベーションの存在がある。8月3日に開催された「新世代アグリチャレンジャー育成講座」は、そのような未来の挑戦者たちが集まったイベントとなった。
当日、会場の明治大学生田キャンパス(神奈川県川崎市)には生産者・流通・行政関係者など約300名が来場、現地圃場の視察、協賛企業によるデモンストレーション、栽培講習セミナー、ゲストによるトークセッションに参加した。
プログラムの初めに、明治大学野菜園芸学研究室主宰・元木悟准教授により、ソバージュ栽培の圃場で現場直結型の情報提供が行なわれた。来場者からは「栽培方法の適性品種と一般品種の比較が現場でできて、栽培上の勘所もわかったので、さっそく地元でも試してみたい」との声も挙がった。
栽培講習セミナーでは「ソバージュ栽培の研究のあゆみと現状、今後の展望」と題して元木准教授が基調講演。東北をはじめ関東・西日本を含む、ソバージュ栽培の全国的なエリア拡大に伴い、各地の気象条件・輪作体系・病害虫リスクに合わせた、地域別の栽培マニュアルの作成の必要性が提唱された。

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