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特集

ポスト「減反廃止」戦略 水田経営のこれから


【TPPでの関税撤廃】

本間 ないものねだりしても仕方ないんですが、TPP交渉のなかで、政府はなぜ30年かけてコメの関税を撤廃するという提案ができなかったのか。米国はTPP発効から30年で自動車の関税を撤廃するという。しかも29年目まではまったく関税を動かさず、30年目に一気に撤廃するという。だったらコメにしても同じような手段を取ることができたはず。通常の削減率でも発効から15年目までに関税は半分にしかならない。向こう15年かけて構造改革をやっていく行程表をつくれたわけです。
一番悪いのはいまのような状況。現状の政策が続いていくのではないかという雰囲気があることです。とはいえ事ここに至っては、TPPなしでも30年後の農業を考えようという議論を巻き起こさないといけない。このままでは日本の野菜や果樹や畜産は残るかもしれないが、コメは駄目になるよと大きな声を挙げていわないと。きちんとした担い手に農地を集積していかないと駄目ですね。
昆 外圧的にダメになるんじゃなくて内圧で駄目になるんですね。
本間 そのとおり。
昆 加えて日本型直接支払制度の予算が増えていっていますが、これはバラマキのように受け取れます。日本の農業を産業的に成長させるというより環境保全機能という側面を優先させて、農業・農村を温存しようという農村政策ではないでしょうか。とりわけ破綻の危機に瀕している集落営農を生き残らせるためのものに感じますが、いかがでしょうか。
本間 直接支払が必要だとしても、それは構造改革を乗り切った後の農家が対象であって、いま導入すべきではありません。直接支払は「いまのままでいいよ」というメッセージであり、構造を固定してしまうからです。TPPの決着もそうですが、コメを安楽死させようとしているのではないでしょうか。

【コメ輸出の可能性】

昆 輸出にしたって、ほかの品目と比べてコメのポテンシャルは最大なんですよ。だったら輸出できるレベルの生産者をもっと育てていかないといけない。
本間 輸出についてはコメ単体だけでなく、いろいろな可能性があります。以前、カリフォルニアで弁当を作って日本に持ってきた会社があったけど、その逆バージョンをやったらどうか。
昆 それは面白い。ただ中国の非関税障壁は突破できますかね。
本間 中国は駄目かもしれないが、香港でもシンガポールならいけるでしょう。クロネコヤマトが物流センターを沖縄に置いているから、あそこに弁当を運べば翌日には香港やシンガポールに配達できる。

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