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トマトの「ソバージュ栽培(R)」

トマト生産の現状と新栽培法


【省力化が図れる栽培法の開発】

ところで、日本におけるミニトマトの作型は、促成長期栽培が過半数を占め、次いで、半促成栽培、抑制栽培、夏秋栽培の順であり、栽培の多くがプラスチックハウスやガラス温室などを利用して生産される。ミニトマトの栽培法は、側枝をすべて取り除く主枝1本仕立て栽培(以下、慣行)が主流であり、心止めやつる下ろし、斜め誘引などの栽培管理を行なうことにより栽培期間を調節している。しかし、慣行では、誘引やつる下ろしなどの作業に多くの労力を要することが問題となっている。さらに、温暖地では、夏場の直射日光や高温の影響により日焼け果などの生理障害が発生するため、慣行による生産が難しい。
また、ミニトマトは大玉トマトに比べると花数が極めて多く、着果性に優れ、1花房当たり20~30果、あるいはそれ以上の果実が着生する(写真1)。
ミニトマトの収穫作業は、果実の熟度をそのつど判断し、すべて手作業で行なうため、多大な時間を要することから、収穫作業の省力化および軽作業化を図ることが生産拡大のための課題になっている。さらに近年、生産者の高齢化や後継者不足などにより、栽培面積が減少する地域が散見されることから、栽培管理の省力化や軽作業化が図れる栽培技術の開発が望まれている。

(2)トマトの新栽培法「ソバージュ栽培(R)」

筆者らは、露地のミニトマトの新しい栽培法として、慣行に比べて疎植とし、側枝をほとんど取り除かず、逆U字型のアーチ支柱に夏秋どりのキュウリ栽培に用いるキュウリネットを設置し、植物体を生育に合わせて誘引する栽培法を、2010年に秋田県横手市実験農場およびパイオニアエコサイエンス(株)と共同で開発した。その新栽培法は「ソバージュ栽培(R)」(以下、ソバージュ)と呼ばれ、今年現在、東北地域を中心に全国各地で普及が始まっている(写真2、3)。

【省力化とコスト削減】

ソバージュとは野性的という意味で、従来のトマト栽培に比べて手間をかけずに収量をアップさせるという栽培法である。ソバージュの特徴の一つは、U字支柱を用いることである。支柱の高さは2m、幅は2・2m。これを2m間隔に並べて立て、全体にネットをかけてトマトの茎を誘引する(図2)。茎、葉が伸びて果実がなるころにはトマトのトンネルができあがる。
1a当たりの株数は、慣行が160~200株程度であるが、ソバージュであれば50~60株程度で済む。管理作業は、慣行の場合、生育に応じて芽かきや交配、誘引、葉かき、かん水といった手間がかかるが、ソバージュは、交配とかん水がほぼ不要で、誘引は適度に、芽かきや葉かきは初期の生育時のみ行なえばよい。手間と時間がかかるミニトマト栽培の大きな問題が、ソバージュによって解消されつつある。ソバージュは、主枝だけでなく側枝も利用し、心止めを行なわないことから、放任に近い栽培であるため栽培管理の省力化が見込める。また、ソバージュの基本は露地栽培であるため、プラスチックハウスやガラス温室などの施設費が不要であることから、生産コストを大幅に削減できる。

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