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トマトの「ソバージュ栽培(R)」

トマト生産の現状と新栽培法


今年現在、ソバージュに採用されている品種は、ミニトマトの「ロッソナポリタン」や「シシリアンルージュ」(いずれもパイオニアエコサイエンス)など。ミニトマトの省力収穫向き品種が具備すべき特性としては、耐病性や高品質(高糖度および良食味)のほかに、同熟性(開花集中性、成熟集中性および結実性)、日持ち性(裂果抵抗性および軟果抵抗性)、収穫適性(へた離れ性および果柄の離脱性)、複合型花房、単為結果性、成熟制御などが考えられ、図3のようにまとめられる。ミニトマトの省力収穫のための栽培面からの解決法の一つとしては、収穫の省力化(同熟性)に関係すると考えられる開花集中性、成熟集中性および日持ち性を高めることである。写真4の「ロッソナポリタン」ような日持ち性の優れる複合型花房の品種が良いと考えられ、写真5のような夏秋期に着果性が劣る品種は作業効率が悪く、省力収穫には適さない。
明治大学では、露地夏秋どりミニトマトの新栽培法であるソバージュの栽培体系の確立を目指し、品種特性が異なるミニトマト2品種を用い、ソバージュと慣行の2つの方法で栽培し、収量の比較を行なっている。その結果、ソバージュは慣行に比べて株当たりの総収量および可販果収量が多く、単位面積当たりでも、ソバージュは株数が慣行に比べて4分の1程度であるにもかかわらず、慣行と同等の収量が見込めることが明らかになった(図4)。

【価格の高い盛夏期にも生産可能】

ミニトマトは前述のとおり、8~9月における市場入荷量が全国的に少ないことから、ソバージュは市場入荷量が少ない盛夏期に生産可能な新栽培法として期待できる。また、ミニトマトは、降雨による裂果の発生を防ぐため、日本国内では一般的に施設内で栽培されるが、明治大学で得られた、露地夏秋どり栽培のソバージュの収量のデータと、神奈川県におけるハウス栽培の夏秋どりミニトマトの収量のデータの過去5カ年(2009~2013年)の平均値を比較したところ、神奈川県における1a当たりの平均収量は223kgであり、明治大学のソバージュでは2品種ともに1a当たりの可販果収量が250~500kg程度見込めたことから、ソバージュの露地栽培においても、一般的なハウス栽培の夏秋どりミニトマトと同等以上の収量が期待できると考えられた。
盛夏期のトマト栽培では、裂果と日焼け果が問題となるが、ソバージュは茎葉の繁茂による日焼け果の軽減効果も認められた。裂果については品種間差があるため、新品種導入の際には比較検討が必要である。さらに、糖度とリコピン含量を計測したところ、糖度は慣行が若干上回るものの、リコピン含量はソバージュが慣行と同等か高まる傾向であった(図5)。

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