ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

トマトの「ソバージュ栽培(R)」

トマト生産の現状と新栽培法


(3)ソバージュ栽培(R)の現状と調理用トマトの課題

筆者らは、東日本大震災の復興支援として2013年より岩手県と共同研究を続け、津波被害に遭い、さらには高齢化が進む太平洋沿岸の震災地域に向けて普及活動を行なっている。連載第2回は、「東日本大震災の復興支援としてのトマトの新栽培法『ソバージュ栽培(R)』の普及の取り組み」(仮)について岩手県農業研究センターに紹介していただく。
ソバージュの研究が進むなか、すでに生産現場への普及活動も始まり、ソバージュで収益を上げている生産者も多い。連載第3回は「トマトの新栽培法『ソバージュ栽培(R)』の普及と新たな取り組み」(仮)と題し、若手実力農家や新規就農希望者など全国各地に広がるソバージュのネットワークを、パイオニアエコサイエンスの各地域の営業担当者とともに紹介する。
日本では、生食用トマトは人気があるものの、加工用トマト(連載では調理用トマトを扱う)の消費量は、トマトの消費が調理主体であるヨーロッパやアメリカなどに比べて、まだまだ低いのが現状である。日本国内における生食用トマトの市場は限られ、やがて供給過剰になって価格低迷の可能性も考えられるが、調理用トマトのマーケットであれば今後の拡大が期待できる。日本のトマト文化は生食主体であり、トマトを調理して食べる文化はこれからと言える。
さらに、ソバージュ向きのミニトマトは調理および加工に最適な品種であることから、さらにトマトの消費量を増やしていくには家庭での調理法の普及や、ジュースやソースといった6次化を推進していくことが必要である。8月3日に明治大学で開催した「アグリチャレンジャー育成講座」のなかで行なったトマトソースの目隠しテストの際にも、ソバージュで栽培した各品種が、生食用トマトや缶詰の既製品などに比べて明らかに高い評価を得た。
こうしたソバージュで栽培されたトマトの品質面における優位性に加え、首都圏に限らず全国各地にイタリアンレストランが営業されていることを踏まえ、連載第4回では「トマトの新栽培法『ソバージュ栽培?』を利用した調理用トマトのマーケット開拓の可能性」(仮)と題し、野菜ジャーナリストの篠原久仁子氏に登場していただき、調理用トマトの市場拡大に向けてのマーケティング上の課題と新しいマーケット開拓の可能性について論じていただく予定である。
日本の食文化において、調理用トマトの存在をさらに定着させていくことが、ソバージュの発展にもつながっていくものと考える。

関連記事

powered by weblio