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【土門「辛」聞】
太平物産肥料偽装事件 時代遅れの肥料取締法
- 土門剛
- 第145回 2016年10月12日
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太平物産と全農の関係は、全農が2015年12月11日に公表した「太平物産株式会社の肥料製造における不正行為について」と題した調査報告書にも詳しい説明がある。
「太平物産とJA全農との取引は、太平物産が創業した昭和23年に開始されて以来、本件不正行為の発覚によって同社工場での肥料製造販売を停止した平成27年10月まで継続されてきた。取引は、主として、肥料原料の売買と製造された肥料の売買である。太平物産が肥料原料の一部をJA全農から購入し(その他は商社等商流系で調達)、JA全農が同社製造肥料のほぼ全量を購入し、『全農マーク』を付して、JAをとおして生産者に販売していた」
この説明では、全農から調達する肥料原料は「一部」と記述しているが、「大半」という表現が正解かもしれない。化成原料は全農から、全農が扱わない有機原料についてのみ、商社等商流系からの調達となるからだ。
太平物産は、もともと三菱マテリアル(株)などが設立したもので、歴代、同社の経理部門出身者を社長に送り込んできた。08年に太平物産株をすべて売却する。ところが、引き受けたのは全農ではなく、太平物産の役員持株会や社員持株会だった。このほか三菱商事(株)、日本マタイ(株)、ジェイカムアグリ(株)など5社が株主に名前を連ねていた。
太平物産の年間売上高は約70億円、従業員数は約132名。肥料メーカーとしては中堅より上のクラスになる。偽装肥料事件が表面化してすぐの15年11月27日、秋田地裁に民事再生法の適用を申請。16年7月8日、工場などを売却して債権者へ返済することを柱にした再生計画案を同地裁に提出している。
「太平物産とJA全農との取引は、太平物産が創業した昭和23年に開始されて以来、本件不正行為の発覚によって同社工場での肥料製造販売を停止した平成27年10月まで継続されてきた。取引は、主として、肥料原料の売買と製造された肥料の売買である。太平物産が肥料原料の一部をJA全農から購入し(その他は商社等商流系で調達)、JA全農が同社製造肥料のほぼ全量を購入し、『全農マーク』を付して、JAをとおして生産者に販売していた」
この説明では、全農から調達する肥料原料は「一部」と記述しているが、「大半」という表現が正解かもしれない。化成原料は全農から、全農が扱わない有機原料についてのみ、商社等商流系からの調達となるからだ。
太平物産は、もともと三菱マテリアル(株)などが設立したもので、歴代、同社の経理部門出身者を社長に送り込んできた。08年に太平物産株をすべて売却する。ところが、引き受けたのは全農ではなく、太平物産の役員持株会や社員持株会だった。このほか三菱商事(株)、日本マタイ(株)、ジェイカムアグリ(株)など5社が株主に名前を連ねていた。
太平物産の年間売上高は約70億円、従業員数は約132名。肥料メーカーとしては中堅より上のクラスになる。偽装肥料事件が表面化してすぐの15年11月27日、秋田地裁に民事再生法の適用を申請。16年7月8日、工場などを売却して債権者へ返済することを柱にした再生計画案を同地裁に提出している。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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