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特集

求む!契約栽培 いまメーカーが欲しがっている加工用作物


では国産の加工用トマトの需要はどこにあるのか。最も多いのは国産原料に限定してブランド化された商品である。とくに使用量が多いのはナショナルブランドの商品で、その原料のほとんどが契約栽培で生産されている。商品の例を挙げると、カゴメの国産原料100%の「カゴメトマトジュース プレミアム」や、デルモンテの「国産 旬にしぼったトマトジュース」、ナガノトマトの「信州生まれのトマトケチャップ」などがある。
トマトの加工品の国内最大手のカゴメは、現在、新たな契約栽培先を募っている。国産の加工用トマトの3万4000tのうち、カゴメは、トマトジュースなどの原料として年間約2万tを使用している。ところが昨今、この数字を維持するのが難しくなってきているという。理由はご多分に漏れず、生産者が高齢になり契約をやめる人が増えているためである。
安本氏は次のように加工用トマトの契約栽培を呼びかけている。
「全量買い取りをしているので豊作貧乏になりません。土地利用型で夏場に作業できる作物として検討してほしいと思います」
そこで加工用トマトを今後の経営に組み込むことができるかどうか、以下に述べるカゴメの契約栽培の全体像を検討材料にしてほしい。

【垂直統合下で開発される加工用トマトの品種】

カゴメは品種開発から生産・加工・販売までを一貫してマネジメントするという、いわゆる垂直統合ビジネスを展開している。
経営企画本部広報グループ主任の北川和正氏(36)によると、垂直統合は、カゴメの創業者がもともとトマトの生産者であり、トマトを加工したことによって発展したことに由来している。創業者の蟹江一太郎氏は1899年にトマトなどの西洋野菜の生産を始めたが、日本人になじみがないトマトはすぐには売れなかった。そのため、レストランが料理に使いやすく保存もできるようにトマトピューレの加工を始めた。さらに第二次世界大戦後まもなく、本格的な契約栽培も始まり、品種や商品を開発するための研究所も開かれた。
現在は、農業や食料、健康寿命の延伸など社会の問題に対して取り組むという理念のもと、「野菜全般を提供する会社になる」という中期経営計画が動き出したことにより、あらためてカゴメの原点である原料へのこだわりを強めている。
そのこだわりを象徴しているのが、収穫したての国産トマトを搾ったストレートジュース「カゴメトマトジュース プレミアム」の商品群である。
このような商品展開をするうえで、独自に品種を開発していることは、カゴメにとって大きな強みになっている。現在は10品種以上のトマトを手がけており、ジュース用専用品種を「凛々子」というブランド名で総称している。

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