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特集

求む!契約栽培 いまメーカーが欲しがっている加工用作物


そんな農産加工品のなかには、ニンニクやクルミをはじめ各種野菜まで、「地元名産品」の調味品や漬物として、いまでも土産物店、道の駅や直売所にまで陳列されている。じつに残念な風景だ。
正品は市場に出すが、残った規格外品で加工品製造する場合も同様のことが起きる。近年の「6次産業化」の現場でよく勃発していることは、プランナーやアドバイザーなどから常に指摘される点でもある。

【規格外加工は大産地しか通用しない】

農産加工品の原材料生産において、正品を打った後の規格外品を有効活用しようという試みは、一部の品目を除いてほとんど成功しない。その一部というのは、全体の生産量・出荷量の分母が大きい大産地である。
たとえば、ホウレンソウでいえば、春から秋まで関西地区向け最大の産地である飛騨地域。
岐阜県高山市では、規格外ホウレンソウを冷凍加工して売り込む取り組みが軌道に乗っている。JA管内のホウレンソウの年間出荷量は約7200t。そのうち2割が規格外や端材だというから、4月から11月までの期間中に、加工用原料が1500t程度ある勘定だ。初年度の今年は、販売を予定していた約300tをすでに売り切っている。
元々が生食用のため、茎が細く食べやすいのが類似品にない強み。とくに1kg~500gの大容量サイズが、味や品質にこだわる業者から引き合いが強いといい、岐阜市のメーカーは「生産が追いついていない」状態だという。現在の製品生産量は月に70t弱。
原材料はJAひだが仲介した管内の農家を中心に、約30人から仕入れる。JAを介しての仕入れは4月から11月末。安定供給を続けるため、冬場は県南部の冬ホウレンソウ産地などから仕入れる予定で、メーカーでは、希望する農家を募るため、JAを通して工場視察などを呼びかけている。
一方、果物関連でいえば、日本一のリンゴ産地・青森などが「分母が大きい」産地だ。農家からキズ果などを買い取り、カットリンゴ製造者などに供給するシステムをつくっている。
青森県弘前市のリンゴ農家でつくる「カットりんご生産者協議会」は、キズ果などを買い取り、協議会や地元企業が設立した食品加工会社に、カットフルーツ用として供給する仕組みを確立した。カットフルーツは、需要が伸びている一方で、どうしても安定供給とコストの関係から輸入果実の利用も多かった。
そんな現状打破を狙って、同協議会では弘前市産リンゴをPRしながら、全国で取引先を開拓することで、地域の加工業者の買い入れ価格を上回る20kg当たり2000円に設定して需要者に喜ばれている。

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