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特集

求む!契約栽培 いまメーカーが欲しがっている加工用作物


工場の受け入れのほうの仕組みはこうである。収穫期限定のストレートジュースには、届いたトマトがそのまま搾汁されて使用される。通年販売の濃縮還元のジュースには、別途、濃縮されて保管された原料が随時使用される。
全国から集まるトマトは、天候によって糖度にバラツキがある。とくにストレートジュースの品質規格を一定に保つためには、そのバラツキが問題になりそうだが、その点は工場内で解決される。
トマトが届くと抜き取りで糖度を計測し、度数ごとにパレット単位で一時保管される。搾汁機に投入するタイミングで、どのパレットのトマトをどれだけ使うか比率を決めて投入することによって、商品の品質を一定に保っている。

【加工用トマトの生産方法】

加工用トマトの生産は、生食用とは大きく異なる。とくに大きな違いは、露地で支柱を使わず地這いで育てる点だ。これは、支柱を立てる手間を省略できるほか、機械での収穫作業に向いている。
今年、契約栽培を始めて2年目となる青森県の舮作(へなし)興農組合代表理事の坂本正人氏(73)によると、このほかにも加工用トマトは生食用より手間がかからない点が多いという。
まず定植は機械で行なう。生食用には欠かせない人工授粉や摘芯・わき芽欠き・摘果など非常に手間がかかる作業は、加工用トマトの生産ではすべて省略される。またカゴメは実の日当たりを良くするために株分けを推奨しているが、坂本氏は気温が高い年は、株分けしないほうが日焼けによる品質劣化が少ないことを発見した。薬剤は、定植から収穫前までに5回。ブームスプレーヤーを使用するためマンパワーは2人で済むという。
加工用トマトは、生食用のように店頭に並ぶタイミングを見計らって未熟で収穫するのではなく、熟してから収穫する。1株に約70gの中玉が約100~120個実るが、熟度は差がある。
作業は、手作業か機械作業かによって異なる。手作業の場合は、熟した順に3~4回に分けて収穫していく。熟度具合は色の基準カードがカゴメから生産者に提供され、それを目安に摘み取り作業をする。機械作業の場合は、8割方熟したところで一斉に収穫する。

【効率的な生産には経営計画が必要】

カゴメによる加工用トマトの買い取り価格は、生食用トマトの7~8月の相場の約20%程度である。現在、契約栽培している生産者の収量は、平均7t/10a。カゴメはこの量であれば生産者の採算が合うと試算している。舮作興農組合では、1年目の昨年、6~8t/10aを収穫した。ただし今年は、花芽の生育期の6月に日照不足や雨による水分過多で玉数が少なく、7月後半からの収穫期にかけては高温で日焼けが多くなるなどの理由で収量が落ちている。

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