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特集

求む!契約栽培 いまメーカーが欲しがっている加工用作物


こうした状況の発端は、07年末から08年初めに起きた中国製餃子中毒事件である。その後の国内外の異物混入事件なども重なり、中国からの輸入品に対する市場の不安は、中国製の加工食品だけではなく中国産の農産物にまで広がった。
その状況のなか、中国産の価格が上昇したことによって、さらに中国産離れが加速した。06年には約119円/kgだった中国産ニンニクは、15年には約219円/kgと10年間で約2倍に値上がりした。中国の生産者が減少して生産量が減っていることや、中国国内での消費拡大がその理由だ。また年によっては気候変動による不作の影響もある。
国産を選択している加工食品メーカーのひとつに、愛知県豊橋市に本店を置く(株)さくらFOODSがある。現在100%国産原料の餃子を製造・販売している。中国産ニンニクを国産に切り替えたのは、奇しくも中国製餃子中毒事件の1カ月前のことだった。代表取締役の北澤晃浩氏は国産を使う理由を次のように語った。
「取引先の小売店からの依頼で国産に切り替えました。おかげで難を逃れることができました。当時、国産ニンニクの価格は中国産の3~4倍しましたが、ニーズがあるなら国産を使おうと思い、それからずっと国産だけを使っています」
岩本氏によると、加工食品メーカーにとって、安全性への不安があるうえに、価格が上がれば、もはや輸入品を使うメリットはないのだという。

【自家製黒にんにくが加工用原料を圧迫】

国産ニンニクが不足しているもうひとつの理由は、黒にんにくや黒酢にんにくの市場が伸びていることにある。この原料としての需要はもちろん、黒にんにくや黒酢にんにくの健康食としての人気が、新たなマーケットを作り出したと岩本氏は語る。
「高齢者の間で、黒にんにくを買うのではなく、自分でつくるという傾向が見られます。業務用を扱う当社をインターネットで見つけ、10kg単位でオーダーする個人客が増えています。そういう方たちは健康志向だから国産しかオーダーしません。これがさらに加工用原料を圧迫して、国産の相場はさらにどんどん上がっていきます」
10kgというと青森県産の福地ホワイト六片種で約100個、九州産の嘉定種で200個という量である。仮に年間10kg買う世帯が100世帯あれば1tになる。
国産ニンニクの全国年間出荷量は、05年1万1100tから14年1万4000tへと10年間で26%増加した。しかし中国産の輸入量の減少分を補うまでには至っていない。当然、価格は上昇の一途である。

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