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成田重行流地域開発の戦略学

続・内藤とうがらし復活物語 東京都新宿区



内藤六家を結びつけるもうひとつの仕掛け

内藤とうがらしをめぐって、おいしい水大使館はもうひとつの仕掛けをもくろんでいる。それは内藤六家を結びつけることだ。
内藤とうがらしのルーツである内藤家は江戸時代に六家あった。日向国の延岡藩、越後国の村上藩、三河国の挙母(ころも)藩、陸奥国の湯長谷藩、それから信濃国の高遠藩と岩村田藩である。なお、蛇足ながら湯長谷藩は14年に第57回ブルーリボン賞作品賞を受賞した映画「超高速!参勤交代」の続編で現在公開中の「超高速!参勤交代リターンズ」で話題となっている。
これら六家はこれまで連絡を取り合っていなかったという。いきなり仲良くなりましょうといっても難しい。そこで、六家があったそれぞれの地域で内藤とうがらしを使った加工品をつくってもらい、それを仲立ちにする。その先に成田さんが狙っているのは「内藤藩サミット」(仮)の開催だ。加工品を一堂に集めるだけでなく、文化交流や情報発信の場にもする。それだけ内藤とうがらしをめぐるストーリーは厚みを増し、ブランドとしての力を強めていくに違いない。

韓国トウガラシ復活のヒントにも

新宿における内藤とうがらしをめぐる取り組みはいま、韓国の農業関係者からも注目されるようになった。韓国といえばトウガラシの消費量が日本人の20倍にもなる。それだけトウガラシの栽培も盛んかといえば、いまや国内消費の大半は輸入でまかなわれているのが実態である。とりわけ中国産の勢いは目覚ましい。
そんな状況に危機感を抱くのは、韓国ではトウガラシの中堅産地として知られるイムシル郡。郡守(=首長)や農協組合長、トウガラシの加工工場長をはじめとする一行は9月初めに新宿を訪れた。
狙いはもちろん内藤とうがらしのブランド化の取り組みを学ぶこと。とりわけ関心を集めたのは、商品に物語をつけ、付加価値を上げている点だ。加えて、一本のトウガラシを多様な商品にするアイデアである。つまり内藤とうがらしは実だけではなく根と葉も販売している。根や葉は佃煮にしたり茶にしたりできる。また実の売り方も一様ではない。赤く熟したものだけでなく、青い段階でも売ってしまう。おまけに観賞用の鉢植えとして花屋でも販売する。韓国の視察団は内藤とうがらしプロジェクトに産地復活のヒントを得たようだった。

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