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編集長インタビュー

高関税による保護は国益に合わない国際競争力ある農業を育てる政策へ

■農業問題を扱う政治の場では、しばしば「国益」が持ち出される。しかし高関税による保護は農業の競争力向上や食糧安保につながるのか。産業としての農業を育成するにあたり、本当に必要な政策とは何か。 ■世界経済のメカニズムが転換する中、農業経営者に求められるパラダイムシフトについて、日銀出身の参議院議員、大塚耕平氏が語る。

コスト6倍のコメ生産が国益を守ると言えるのか


昆吉則 農業とりわけコメ問題で、政治家や行政は「国益」という言葉を使います。しかし「国益を守る」という言い方しかせず、本来あるべき農業の姿を語ろうとしません。

大塚耕平 昨年の世界貿易機関(WTO)の新ラウンドでは、コメの関税率490%が維持されました。これは、外国産に比べて約6倍のコストでコメを作っても採算がとれることを意味します。農家の生産性は向上せず、日本のコメ産業の国際競争力は低下します。これでは国益に合致しているとは考えられません。
 食糧安保の視点からも、高関税をかけ、コメ農家を守ることが果たして国益にかなうのかは疑問です。よく食料自給率が40%しかないと言われます。しかし、これはカロリーベースの数字です。金額ベースでは約70%、主食用穀物自給率は重量ベースで表示され、60%強あります。自給率とはなかなか厄介な概念です。

 農業に限らず、国内産業を守ることは必要です。しかし、私は政策の「目的」と「手段」の選択と組み合わせが重要だと考えています。自給率は、食糧安保という目的と、高関税という手段の組み合わせが適切かどうかを測る指標のはずです。高関税を維持する一方で自給率が改善しないのは、手段の選択が適切でないからかもしれません。

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